評価:★★★★☆ 3.7
「“ここ”には、あなたが望む“術”があります」
昏い書架の群れの中、その少年はそう言った。時は現代。とある街。
一人で暮らす孤独な少女、神無月あやな。茹だる様に暑い夏の夜、彼女は一人の少女に出会う。帰る場所も、名すらも持たない彼女に、あやなは「つきな」と名をつける。
そして始まる、少女達の奇妙な共同生活。
互いに言えぬ言葉を持つと知りながら、絆を強めていく二人。けれど、その想いを嘲笑う様に、かの”術”は彼女達を数奇な運命へと誘っていく。
あやなを苦しめる秘密。つきなが孕む謎。ある目的のために、つきなを求める少年。そして、夜の狭間から彼女達を見つめる存在。
世に放たれた”術”が導くは、破滅か希望か。
これは、世界の狭間で紡がれる、鮮やかな血に染む物語。
話数:全34話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
≪「ここにいるのは、間違いなくあなたの意思ですよ」≫冒頭に少女に投げかけられるその一言に思わずハッとする。勿論、その言葉は読み手に対して投げられたものではないのだけれど、たったの一話で思いのほか不思議な世界観に入り込んでいることに、驚いた。詩的な表現が盛り込まれているためか、物語は情景のように綴られる。血の滴りは、生々しく香ってきそうな程に痛々しく言葉の選び方、重ね方、何よりも行間の取り方がとても心地の良い作品です。読み手の方だけでなく、作り手の皆さんにも読んでみていただきたい。≪「ごちそうさま」≫でした。