評価:★★★★★ 4.5
都市部と山間部を結ぶローカル線「二木粟生井鉄道」は、経営状態が彼岸花畑。
最年少の三木栄駅員は、一年掛かりで準備して、ある計画を実行する。
同時に、三木駅員の知らないところで二木粟生井鉄道活性化連絡協議会……通称「二木鉄の乗客を増やす会」が発足した。ビミョーな萌えキャラ「二木あおい」でネット炎上。敵は、巨額の赤字と社内の逆風。
萌える商魂で、廃線に向かう列車のポイントを存続路線に切り変える戦いが始まった。三木駅員と二木あおいは、叩かれても、倒れても、同じ空の下で架線を共有する仲間と共に回生ブレーキを作動させ、脱線を防ぎながらひたすら前に進む。
話数:全65話
ジャンル:仕事もの
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
ツイッターを使いこなすものは世の中を制す……とまでは言い過ぎかもしれませんが、企業や地方自治体のイメージアップに貢献していることは明らかですよね。時々有名アカウントの中の人たちが、「呟くだけが仕事だと思われているのが辛い」なんておっしゃることもありますが、それもまた注目されているがゆえの辛さなのかもしれません。この物語の主人公は、赤字にあえぐローカル鉄道の若手社員。彼は独自に非公式な萌えキャラアカウントを作り、何とか乗客を呼び込もうとするのですが、そう簡単にはいきません。渋る同僚に頼み込んで描いてもらった萌えキャラは、いまいち萌えない娘だったのです……。頭の固い上司に、身バレの危機、掲示板での晒しに、炎上騒ぎ。ネットニュースからの取材の申し込みに、まさかのグッズ販売と、中の人も驚く急展開は、SNSの発達した現代ならではとも言えます。何ともリアリティーあふれる作品をお楽しみください。
減収減益にあえぐ、とある地方のローカル鉄道。本業以外に有望な収入源もなく、毎年10億円もの赤字を吐き続ける損益計算書。自治体からの補助金なくして存続し得ないゾンビ状態。この状況を見かねた三木栄(ミキ サカエ)駅員は、かねてからの計画を実行に移す。それは、ゆるキャラによる広報活動!(ただし非公式絵心ある同僚に描いてもらったイラストでこっそりSNSデビュー(もちろん非公式)、地道な活動が認知されて会社にバレそうになったり、グッズも販売してみたり……なんだかとってもリアル。あと、随所に散りばめられた言葉遊びがこれまた楽しい。登場人物に与えられた名前が、まず読めない。それ以前にタイトルからして読めないけれど、そこに隠された駅名や鉄道用語に気付く頃には、貴方も物語に引き込まれているはず。ゆるレア鉄道経済小説、電車好きもそうでない人もどうぞお気軽にお乗り合わせください。
「このままでは、ウチは廃線だ……」なんとかして客を呼び込みたいと、勤務する鉄道会社に内緒で微妙な萌えキャラアカウントを運営し始める主人公。ツイートの伸びに一喜一憂したり、炎上したり、身元バレにおびえたり、そしてネット上で仲間ができたりと、悲喜こもごもを乗せて二木あおい鉄道よどこへ行く?敵は巨額の赤字と保守的な社内の逆風。経済テイストなゆるふわエンターテイメント。努力、友情、勝利が織りなす爽やかな読了感をあなたに!起死回生のブレーキ音が、のどかな田園風景に鳴り響く!
おそらく、モデルの路線は関西のとあるローカル線。利用者も少なくて、もしかしたら時代に忘れ去られていくのかもしれない。でも、沿線の人はやっぱり困ります。それ以上に多分この路線が好き! な主人公は、Twitterで非公式キャラを作って盛り上げようと寝る暇も惜しんで東奔西走します。頭の固い営業部長に悩まされたり、過労で倒れちゃったりもするけれど……その度に、誰かの優しさが沁みるヒューマンドラマです。