魔剣拾遺譚 完結日:2018年5月7日 作者:山彦八里 評価:★★★★☆ 4.3剣客ジエンは友の遺した『魔剣』の奪還を期して旅をする。 話数:全27話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 主人公最強 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 だいたい皆殺し 剣客 時代小説 時代物風 最後は明るく 魔剣 注意:残酷な描写あり なろうで小説を読む
月は東に日は西に、今宵の月は満月か。風情に浸る間もなく、剣客ジエンは先を急ぐ。家名も武名も関係ない。いまのジエンは亡き友の無念を晴らさんがために生き、その愛ゆえに遭い彷徨う生きる屍。分かっている、全てを揃えても友は甦らないのだ。それでも魔剣が囁くのだ、「立ち止まるな、全てを集めろ」と。血と汗と涙の本格剣客小説「魔剣拾遺譚」、読むに値する作品だ。桜の樹の下には屍体が埋まっていると言うらしいが、その死体はジエンが斬り殺した剣士かもしれない。
戦士は、生きて帰らなければならない。 彼の闘争はあくまで手段であり。 勝敗の先、帰る場所のためにあるのだから。 その剣は、奪われないために、守る為にあり。 だが。だが。だが。 その剣が、奪われたものを奪い返す為に、殺す為にあり。 必勝のために、命さえも使い潰し的にしてしまうなら。 彼の闘争は最早目的であり。 そんな狂戦士が、いたとしても。 ……生きて帰らなければならない。 流浪の剣客ジエンは、亡友の遺したそれを求めて旅をする。 それは魔剣。異相の剣は異形の斬撃を繰り出し、遣い手たる魔剣士は常態の剣士を屠り去る。 その威力で悪行に勤しむ人面獣心の外道共。 渡り合うために、彼もまた魔剣を放つ。 尋常ならざる剣と剣。 飛ぶ火花の中、眩しく煌めく亡き友の笑顔。 ギシギシと、命の軋む音をさせて、因果応報の復讐剣が飛ぶ。 侍フリーク必見の王道決闘話です。
幼少のころ、難しい漢字に四苦八苦しながら吉川英治の宮本武蔵を読んだ記憶がある。中でも、吉岡一門との決闘のシーンは峻烈な記憶として私自身の中に刻み込まれている。死合うことは、残酷である。残酷であるがゆえに美しくもあり、残酷であるがゆえに、グロテスクであり、人の心に深く爪痕を残す。これは、そういう小説であると思う。