評価:★★★★☆ 4.1
「どんなに辛くても、酷い言葉を掛けられても、頑張れる」
奇跡の曲を奏でることで、精霊の力を呼び出す女性――聖奏師。
ファリントン王国の筆頭聖奏師だった公爵令嬢セリアは、後輩聖奏師と勝負をした結果、予期せぬ敗北を喫してしまう。筆頭聖奏師の座は剥奪され。
公爵家からは「一族の恥だ」と勘当され。
恋人だった国王には棄てられ。すべてを失ったセリアは失意の中で国を去り、ヴェステ地方グリンヒルに流れ着く。
「ただの『セリア』を受け入れてくれる――それだけで、私は幸せなの」
何もかもを失ったセリアは、自然溢れるグリンヒルの地で第二の人生を歩み始めた。
そんな中、セリアが去ったファリントン王国には少しずつ綻びが生じていた――
話数:全51話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
一気に読めてしまいました。1話とも無駄な話もなければ、辻褄の合わないところも、出演者の心情が不明なところもなく、スッキリ、綺麗にまとまり、非常に内容豊富でした。ハッピーエンドが好きですし信念のある女性も大好き。もちろん男性優しくなければ生きている価値がありません。そう言う観点から言ってもこのお話はスーパーリコメンドです。
主人公のセリアは大変恵まれた少女です。公爵家に生まれ、筆頭聖奏師という名誉ある地位に就きその上、国王とも恋仲です。ところが後輩聖奏師との勝負に敗れて状況は一変します。筆頭聖奏師の座を追われ、公爵家からも追放され、恋人にも捨てられてしまいます。失意の中、彼女はグリンヒルという自然豊かな地で第二の人生を歩みます。幼馴染みのデニスとも再会し、ようやく新しい幸せをつかみかけたところで恐ろしい事実を突きつけられます。つかみかけた幸せをまたも失ってしまうのです。衝撃も覚めやらぬ中、セリアは重大な選択を迫られます。その結果、またも大切なものを失ってしまうのです。見方によってはバッドエンドかも知れません。ですが間違いなく「幸福」の「愛」の物語です。何を失い、そして最後に手に入れたものは何か?是非その目でご覧戴けたらと思います。
アイリッシュハープか、ハープシコード辺りが合うかな。この方の文章の奏でる音色も単体で心地よいのですが、BGMがより雰囲気を高めること請け合いです。物語は美しい調べから、やがて短調に転調し悲劇を奏で始めます。一流の演奏家(作中では筆頭聖奏師)が、策謀からその地位を追われ、恋人を含め全てを失い辺境に落ち延びる。彼女を失った国がどう変わっていくのか、そして彼女自身がタイトル通り幸せを掴むフィナーレを迎えるのか、観客席で見守ろうと思います。