評価:★★★★☆ 4.2
気が付いた時、そこは魔界であった。
かつてどこかで魔法少女達を救うために死力を尽くし、魔王に勝利したなんていう偉業を達成したのかもしれない。しかし、彼には記憶がない。
レベルもない。
スキルは不運な事にバッドなものしか存在しない。マイナス状態からモンスターが生態系を築く魔界でリスタートした仮面の男。
醜い仮面で嫌悪される彼を、誰も助けてくれない。前作「魔法少女を助けたい」もどうぞ!
話数:全349話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
独特の世界観で構築された「魔法少女を助けたい」の続編である。今度は楽かと思いきや、弱くてニューゲームな相変わらずのハードモード。顔も記憶も無くして彷徨う馬鹿マスクの行く手には、困難と魔王と魔法少女と女難が待ち受ける。立ち塞がるは正体不明の魔王達。張り巡らされた伏線の数々を紐解かねば相対する資格すらない。絶え間無い死地は「吊り橋効果」スキルを解放し、異性の好感度を極大させる。多角関係を保つスキルなど無い、刃傷沙汰は覚悟せよ。神など当てにならない、頼れるのは紙だけだ。魅力の片輪が独特な世界観なら、もう片輪は捻くれ者の主人公であろう。世界中の誰もが己を助けてくれないなら、せめて己だけはと誰彼構わず助ける歪みはもはや芯となり、矯正される事はない。人類の危機はまだ終わらない。カウントダウンは止まらない。紡がれる物語を最後まで見て欲しい。読み進めれば、貴方の前に深淵が覗き込んでいるだろう。
主人公である御影はかつて地球で魔法少女達を助けるため、自らの命を省みることなく英雄的偉業を果たした。それと引き換えに、地球から跳ばされ、バッドステータスを付与され、作中最強に近い能力のほとんどが封印される。そんな序盤から物語は始まる。ある時、肉体的にも精神的にも追い詰められた彼は「誰も俺を助けてくれない」ことを知りつつも、「誰か俺を助けてくれ」と切に願い、またある場面では、「―――言ったよな。誰も自分を助けてくれないなら、せめて自分だけは誰かを助ける人間でいろって」と独りごちる。これは本作中を通しての、そして以前魔法少女を助けた御影の芯ではないかと思う。かっこよさは少しも翳りが見えない。長くなりましたが、ヒロイン達は最高にかわいいです。御影を慕う魔法少女達、美少女エルフに、ポンコツハーフエルフ他。てんこ盛りの本作を自信を持ってお勧めします。
本作は、前作の続きなのに、強くてニューゲーム、どころか、ハンデスタートとなっています。呪いで誰からも嫌われる、能力の大半使用不可、記憶喪失。奴隷にされ、焼印押され、吸血鬼にされ、魔王たちに狙われ・・・。そんな中、主人公は割とドライで、めげません。その精神性については、前作をご覧になれば見えるかも。主人公を探しに来た前作ヒロイン4人組はニアミスで遭遇できないばかりか怪しい影が・・・。別行動のもう1人は主人公と出会い、しっかり正妻ポジ確保完了。どんどんと出てくる変なスキルたち。吊り橋効果(極)、正体不明(?)、動け死体、などなど。一歩掛け違えば某少年誌のトラブルなDarknessにすらなりそうなスキルの解説文がある一方、他社の無知と悪意によるダークファンタジーの雰囲気は晴れる事のない、不思議な(そして興味深い)作品です。