評価:★★★★☆ 4.2
「兄さん、あなたさえいなければ、私はきっと幸せだった……」
少女チェントの波乱の生涯を書くダークファンタジー。
親を失った幼い兄妹は、2人きりで生きねばならなかった。
兄は、日々の苦しさと怒りを妹にぶつけた。妹はただ耐え忍ぶしかなかった。
大人になった兄は名声を得た。妹には何も残らなかった。
そして、彼女は歪んだ。※この作品は、アルファポリス・小説家になろう・エブリスタ・カクヨム・暁・マグネット・comico・ノベルバ・pixiv・魔法のiらんど・セルバンテス、で並行連載されています。
話数:全18話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
この話に爽快感はない。都合のいい展開もない。ただ、殺し合うことを宿命づけられた哀れな兄妹と、二人を取り巻く哀れな運命をもった登場人物たちがいる。救いと呼べそうなものは何度も登場人物たちの近くにやってくるが、それらは悉く止むを得ない事情によって彼らの鼻先を通り過ぎていく。なのに面白い。巧みに登場人物たちに感情移入させる、作者の腕の成せる業だ。言いたいことは全てレビュータイトルに込めた。読め!後悔はしない。
本来、妹を守る役割を担うべき幼き兄は、過酷な環境にあってその役割に徹することはできず、ついつい妹の心を傷つけてしまう。 兄も同情されるべきである。しかし、その罪はこの物語において都合よく許されることはない。兄と妹は歩む道を違え、妹は変質していき、兄はより大きな役割を課せられる。 そして、周囲のキャラクターを巻き込みながら、2人の運命は必然的に再び交錯する。 与えられた役割と自身の感情とを前にして、与えられた役割に全てを捧げる兄。最初は自身の感情に運命を委ねているように見える妹。はたして、2人の選択はどのような結末を呼び込むのだろうか? 読みやすい文章で、登場人物の心情を克明にしながら、納得いく展開で物語は進んでいきます。 なお、仮に兄が主人公ならば、本作の妹はかなりおどろおどろしい存在だと思います。 だが、その妹が本作の主人公だッ!
度々描写が分からなくなる場面有り(服や人物の状態など)心身描写におかしな点前の文を読み直さないと頭に入って来ない場所多々ある為、続きに行きにくい。またダークファンタジーなのにそれらの要素が少ないように感じました。場面描写、物語の運びは独特で面白かったですが折角のファンタジーの世界なのに終始描写内容が狭く、内容が薄いように感じてしまいます。また、名称に頼ってその表現が疎かになってしまっているので勿体ないな…と思いました。(兵士…など)混沌としたダークファンタジーを求めてる人にはおすすめ出来ないかなぁと。
この作品は、登場人物達の業が織り成す物語。全員が業が深い。亡国の生き残りである兄妹はお互いに解り合わない。それはお互いに幼く、そもそもが人との対話を知らないから。そして其処から起きる杜撰な仲違い。コレは起こるべくして起こる争い。あぁだったら…ifは存在しない。これは必然だから。無力な甘えたがりの妹視線で描かれる、強靱ながら何も語らない冷徹な兄と、それを中心に関わってくる人間、国に関わった彼女の、自戒の物語。一貫して重い空気で進む本作は、最強、御都合、インスタントな内容を求む方にはお勧め出来ません。深い人間模様や心理描写を望む方には打って付けですので、是非御覧をば。
ドロドロした愛憎模様、悲劇的なストーリー素晴らしい作品です。作者様が練り上げられたストーリー、思わずキャラクターに感情移入してまいます。キャラクターそれぞれの心理、感情が伝わって来ます。主人公の罪、罪についての考え方やあり方。殺し合いの悲劇の螺旋。ダークファンタジーの王道なのではないでしょうか。未読の方は是非一読してください。
この作品は、人間の愛情、憎しみ、妬み、喜び、沢山の感情をたったの18話しかない物語に詰め込まれていました。特に作中の後半に出てくる主要キャラクターの精神崩壊する場面は特に素晴らしく、サイコを起こしていて、非常に人間の脆さというのを体現しているように感じました。そして、評価できるのが、完全第一視点で物語が進行されている点です。されているのに、完膚無きまで洗練された表現力によって、他のキャラクターの感情をわかりやすく感じることができました!今後の新たな作品に期待…マジで期待します!
運命はかくも残酷で、美しい。外で金を稼ぎ、くたくたで帰宅する兄の【ヴィレント】と、他人と関わるのが怖く、待つだけの妹【チェント】。親を失った2人の生活は、ある日ふと綻び始め、戦乱の世へと身を投じていく。どうしてこうなってしまったと思わざるを得ないような、儚く、考えさせられるお話。実際こういった話があったのではと思わせるくらいリアリティが高く、心にガツンと来ます。過去を遡るような語り口調であるのも相まって、続きを読ませるような文体であり、読めば止まらなくなります。プロローグとエピローグの結びつけもお見事です立場の異なる2人、英雄の兄と、魔王軍に属する妹の激突の先にある結末とは。読めば感謝し、読まなければ後悔します。
些細なきっかけから、とても大きなほころびが二人には生まれてしまった。兄は妹に暴力をふるい続け、妹はそれに耐え続けた。二人の関係は少しずつ、だが確実に歪んでいくことになる。だが、これはまだ悲劇の序章に過ぎなかった。運命のいたずらか、はたまた必然か、二人の関係はより歪んでいき最悪の方向へ向かっていくのである。貴方に二人の罪を知る覚悟はできているか?
敵味方となって戦うことになってしまった兄妹。彼らはお互いと戦うことで、自分の過去と戦おうとしているかのようでした。家族を失い、愛する者を失ってまでも戦い続ける彼らは果たして不幸なのか?いろいろと考えさせられてしまい、気づいたら最後まで読み切ってしまいました。ちょっと悲しいけどどこか温かい。そんな人間味溢れるダークファンタジーです。
【完結済み作品】親を失った幼い兄妹。生きるために兄はお金を稼ぎ、妹はただ兄を待つだけ。ある日、妹は兄に殴られた。その日を皮切りに、兄は妹に酷い仕打ちを始めてしまう。妹は泣く事しか出来なかった。だが、兄の友との出会いをきっかけに運命は大きく動いた。復讐へ続く運命へ。救いのない鬱鬱とした展開なのに、読むことを止めるどころか次へと読んでしまう。終始、妹の一人称で語られる地の文は丁寧に纏められていて、読み進めてしまう。だからなのか、妹の感情が痛いほど伝わってくる。いつしか妹視点で物語にどっぷり浸って、一気に読んでしまった。復讐の道を歩んだ者の末路。ご都合はない。それでもこの作品は最後まで読ませる力がある。