評価:★★★★☆ 4.3
呪いに倒れた妹を救うため、唯一彼女を救うことのできるアイテムを「監獄ダンジョン」へと取りに行く決意を固めたギデオン。
そんな彼に立ちはだかるのは、未知の生態系に鍛えられた凶暴な魔物と、監獄世界へと追放された凶悪な犯罪者たちだった。
圧倒的な世界に挑む一人の青年の、犠牲と救済の英雄譚。8/31 漫画版(自主企画)公開スタートいたしました!
11/3 第一部完結いたしました! それに伴い完結処理をさせていただきましたが、今後、第二部も予定しております。
2019/8/3 「監獄ダンジョン」のキャラのほとんどが登場するアプリゲームを作りました!
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話数:全219話
ジャンル:アドベンチャー ヒーロー・アクション
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
とても面白かった。系統としては群像劇。監獄の中に広がっている世界で罪人たちがさまざまな思惑を張り巡らせる群像劇。舞台は監獄の中の世界ゆえ、例外を除き基本登場人物は罪人であり、集うキャラクターは変わり者や異常者がほとんどで兎に角個性的。それぞれのキャラクターには、それぞれのドラマがあり、細かな伏線が絡まりあい大きな物語が紡がれていく。手に汗握る戦闘シーン、知略を張り巡らせる情報戦、いくつも提示される謎、ファンタジーらしい世界観、派閥同士の覇権争い、物語の鍵を握る最愛のヒロインと、なんでもありの総合エンターテイメント。もう一度言います。めちゃくちゃ面白いです。
“主人公は双子の妹を救う唯一のアイテム「カルボファントの象牙」を求め、あえて大罪をおかすことで『監獄ダンジョン』へと収監される。大罪人たちを閉じ込める流刑地『監獄ダンジョン』は、力のある囚人たちが権力を握り、弱者をひらすら虐げているという””超格差社会””だった!植物の能力を使いこなす主人公はバトルに強く、頭もいい。しかし周りの囚人たちもつわ者だらけで簡単にはいかない。そんな中でも一貫して主人公は「カルボファントの象牙」を求め突き進んでいく。しかし簡単には手に入らない!なぜなら「カルボファントの象牙」は監獄ダンジョンの権力構造を握るためのキーアイテムだったのだ!そして監獄ダンジョンでの権力を巡って巻き起こる群集劇は二転三転、いや10000転ぐらい目まぐるしく進行し、一度読み始めたら徹夜は必死!世界観とストーリー展開が凄い、最高のファンタジー作品!”
主人公は男性。双子のうちの一人だ。彼は、目的の為に普通ならためらう事も平気でするサイコ気質の持主である。自分の身体を人体実験に使ったり、必要なアイテムを入手する為に監獄にまで入るイカれっぷり。そんな彼の監獄生活を書いた小説がこれだ。世界観は神も精霊も魔法もエルフもゴブリンもいるファンタジーなのだが、あまりファンタジー感がない。どちらかと言えば血と暴力と硝煙の匂いを感じる。監獄では主人公に負けず劣らずのサイコ気質の持ち主のイカれた野郎どもがゴロゴロ。しかもチートかよ?と言いたくなる能力の奴らばかり。目まぐるしく変わる人間関係、地位、待遇、愛憎。見どころは、最初はイラッとくる主人公がだんだんかっこよく見えてくる?変化していくところだと思うんだ。だから、むかつくわと思った貴方も最後まで読んで欲しい。※一応、完結しているのだが、ラストも唸ります。
小説家になろうには、敵の器が小さい作品が多い。いじめっ子といじめられっ子が入れ替わるだけの内容のものが多くて辟易している方にお勧めである。本作は、敵の器が大きい。まさしく誇り高く尊敬すべき敵であり、倒すに値する。囚人らしい癖の強さも魅力として作用し、格好良い。倒す敵の価値が主人公の価値だと言わんばかりだ。そして本作は誤字がほぼ無い。誤字と作品の質には相関関係があり、小説家になろうにおいて誤字の無い長編には傑作しかない。本作の優れた構成や物語は他の方のレビューに詳しいので割愛するが、端的に言えば分かりやすく読みやすい。特に、主人公が説明好きという設定、主人公が良く知らない場所へ行き、情報を得ていくという構成は、読者へ不自然さを感じさせずに情報を開示していく上で有効だ。丁寧な作り込みにより、若年層だけでなく大人の鑑賞にも耐える、小説家になろうで必読の逸品である。
キャラクターありきの物語が溢れかえる中、この作品は世界観を疎かにせず真摯に向き合っていると思いました。そしてこの過酷な世界でいきる人物たちは皆狡猾で、何かしらの意思をもって存在しています。物語とは、人物とは、背景とは、その全てがあるべくしてあるべきだ、という作り手の情熱を感じ取れる作品でした。お疲れ様でした。
呪われた妹を救うアイテムがある場所は凶悪犯罪者たちが収容されている監獄ダンジョン。犯罪者たちの最後の楽園として表面上は秩序が保たれていたが、主人公が潜入したことにより、仮初めの楽園は徐々に崩壊していくのであった。そして、妹を救うために冷酷に振る舞い、情に流されまいとする主人公も多くの出会いを経て少しずつ成長していく。基本的には妹を救うアイテムを手に入れるために監獄で成り上がることを目的としていろいろな問題に関わっていくストーリー重視な感じの作品ですが、戦闘描写などもしっかりと描かれています。主人公だけに視点を当てて戦わせるというのではなく、囚人同士の戦闘も結構多い印象でした。謎や続編へと繋がるような終わり方となっていて、ここから本来の主人公の物語が始まるのではないのかという気もしますが、一つのシリーズとしては完結していますし、面白いので是非一度読んでみてください!
物語の導入は非常に簡単です。病気の妹を救うため、主人公は監獄ダンジョンというところへ乗り込みます。で、単純に、監獄のなかで能力バトルしてダンジョン攻略してずんずん先にすすんでいけば良い話かと思いきや、そんな話ではありませんでした。監獄のなかには街があり、階級制度があり、だれが支配者となるかで勢力争いが勃発。監獄の王を決めるための戦いです。それも能力が強ければ良いというのではなく、かなりの頭脳戦が展開されます。そんなのはどうでも良いから妹を治すアイテムが欲しい主人公ですが、なんと監獄で一番強い支配者に見初められ、いやがおうにも巻き込まれ……。さらには監獄の外の世界での政治的事件まで関わってきて。今、優位に立っていたキャラが、次の話でもう転落。くるくるとめまぐるしく変わるキャラたちの立場にハラハラドキドキ。主人公は無事にアイテムを手にして脱獄できるのでしょうか!
とても面白い作品です。楽しく読ませていただきました。冒頭の展開からして凄いです。主人公が自分から望んで地獄とも例えられるダンジョンに行こうとする。その目的が妹の為。富や名声、人生に飽きたとか刺激を求めてとかではなく愛する家族の為です。妹を救うためならば自分がどれだけ傷ついても、悪く思われようとも構わない。ギデオンという男は今時珍しいタイプの主人公です。だがそれがいい。とても格好いい。そしてずるいなと思ったのが、この作品にはそんなギデオンに負けないくらい良いキャラクターが多いこと。設定や世界観も素敵ですが、やはり主人公を始めとする個性豊かなキャラクター達の存在が大きな魅力です。是非とも好きな飲物を用意して、じっくりと読んで頂きたい作品です。きっと読めば読むほど、この物語が好きになるでしょう。
今年読んだ中で一番面白いです。まず背景となる世界観や神話に矛盾がなく、しかも壮大。それらの伝説が伏線として徐々に本筋に絡んできて、重要人物として登場するくだりは圧巻。こういう作品が書籍化されないのを非常に残念に思います。登場人物の視点が非常にはっきりしていて。各々が自分のために知的な駆け引きを繰り広げる会話シーンに唸らされ、個性あるキャラクターの生い立ちに沿った能力が織りなす戦闘シーンにハラハラし、絶妙なタイミングで収束する伏線の張り方にあっと驚かされます。全てにおいて一級品の超オススメ作。序盤から全開で面白いので最初の方だけでも手に取ってみてください。
この作品を読んでいて感じたのは「こんなにも強い意志を持てる主人公がいるのだ」と。他の作品全てがそうだ、というわけではありませんがこの主人公はひたすら「妹を助ける」という意志によって考え、行動しています。「何があっても妹を助ける」。この意志こそがこの作品の主人公を支えている大部分なのではないかと感じられました。他の登場人物たちとぶつかり合うこともありますが、それでも、どんな場面にあっても「妹を助ける」ために動くので、この先どうなって行くのかとても楽しみです。それ以外にも、特徴の多い登場人物ばかりで、この登場人物達に主人公はどうやって立ち向かって行くんだろう?と読者をワクワクさせてくれます!まずは10話ぐらいまで読んで見てはいかがでしょう。きっと、この作品の世界観にハマります。