評価:★★★★☆ 4.2
10年に渡る少女の幼い初恋は、叶わなかった。
恋を諦めた大国の王女は、蛮族として悪名高い北国へ嫁ぐ。
ただ一夜の思い出さえあれば、どんなに苦しくとも生きていける。そう自身に言い聞かせながら。王女を娶るのは、毛皮に身を包んだ野蛮な男。
「狼の番は生涯にただ一匹だけ」
自身を狼に例えた蛮族の王だったが、王にはすでに多くの側室たちがいた。
涙する王女は嘘つきな男を憎もうとするものの、徐々に男の優しさに惹かれ始めていき……。最後はもちろんハッピーエンドです。
(ふわっと中華風、ふわっと騎馬民族です)※ムーンライトノベルズにて2017年8月20日に投稿しております「巫山雨雲〜姫君はただ一夜の幸せを乞う〜」と、なろうで投稿しております短編集「『あい』を失った女」より「月は『ゆめ』など見るはずもなく」(2018年7月19日投稿)をもとに構成しております。
※この作品はアルファポリスにも投稿しております。
話数:全18話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:じれじれ
展開:未登録
注意:全年齢対象
この物語のヒロイン、幼心の初恋は、見目麗しい年上の人だった。 若くして嫁ぐ先は、見た目も性格も対極にあるような男性だった。それも、政略結婚とも取れる、他国の国王。すでに側室が何人もいるような……。 裏切られ、疎まれ、見放されたと感じた少女は、自身の胸に『薬』を抱き、その身ひとつで輿入れをする。 そんな、願わずの結婚は、少女を幸せへと導いてくれるのだろうか……?「狼の番は生涯にただ一匹だけ」 この力強い言葉が真実であることを、ただただ願う、騎馬民族風婚姻譚……。 ここに開幕。 好きになってしまった恋よりも、好きになった恋のほうが、幸せになれるのではなかろうか……。
『君は太陽で僕は月だ』あるいはその逆のような、詩的で依存的に見えるようなラブコールをする人がほんとにたまにいたりする、このお話は、もっと態度で語る物語。このお話は、東国の姫君が寒い北国に嫁入りをするお話だ。ぶっきらぼうな北国の王は、東国の姫、月玲を子供のように抱きながら優しく眠る。お前はまだ子供だからなと言う。でもそれは、口先でなく態度で語る、狼なりの優しさである。幼くして故郷を離れた月玲が、自由に振舞って欲しいという慈しみにも似た優しさである。本当は月玲のことを好きで好きでたまらないのに。それを理解したとき、二人の関係性がとても可愛く見えてくる。頑張れ、頑張れと応援したくなる、優しいオリエンタルローファンタジーです。「龍の望み、翡翠の夢」の関連作です。