評価:★★★★☆ 4.4
「月が綺麗ですね」
声を出すことが苦手な望月葵に届いた、見知らぬ相手からのSMS。
それは、氷上朔也が亡き祖母の番号に向けて送った、誰にも届かないはずのメッセージだった。顔も名前も知らない二人が、文字を通して出逢い、繋がる物語。
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秋月忍様の「夜語り企画」参加作品です。
カクヨム・エブリスタにも投稿しております。
話数:全10話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
「月が綺麗ですね」から始まる小さな恋の物語。この作品を一言で表せばそうなる、かな。ちょっとしゃべるのが苦手な望月葵が主人公、たどたどしい言葉使いだけど、真面目な女の子。顔が見えぬお相手との会話はモニター越しで、これは得意。綴られる言葉から相手を察するのも、楽しい。興味が湧くと、相手を知りたくなるのが人間で……ささやかで普通な世界で、ほっとできる恋物語です。ふたりを囲む友人も、なかなか濃いメンツが揃ってます。もしかしたら同じような経験がある人もいるかも?今ではネットの繋がりでめでたく結婚、となるカップルもいますしね。最後にはあっと驚く内容も!?話数もほどほどで一気に読めます。読後にほんわかとなりたい方にオススメの作品です!
『月が綺麗ですね』スマートフォンに届いた、メッセージ。このメッセージは、かの夏目漱石の有名な愛の言葉か、それとも……。一生懸命で不器用で、自分に自信がなくって。つい応援したくなる女の子。生真面目で言葉少なく仕事をこなす、氷の男。でも本当は繊細で優しい人。そんな二人が、互いの顔も素性も、性別すら知らないままに文字で繋がり、少しずつ言葉と心を交わし合う。どんな人なんだろう?文面から滲んでくる、相手の優しさ。もっと話したい、近づきたい。この距離がいい、踏み込んではいけない。劇的でも奇抜でもないからこそ、きゅーっと心を掴んでくる。ふんわりとした温かさが、じわりじわりと心に柔らかい明かりを灯してくれる。そんな作品なのです。ほんわか、温かい恋物語がお好きなあなた。ここに、いい作品がありますよ?
月が綺麗ですねという言葉を誰か分からない人から届いたら。あなたなら、どう、返しますか?この物語のヒロイン・望月葵は突然入ってきたSNSに、そのふと溢れ落ちた呟きのような言葉に、迷い、戸惑いながらも返信します。死んでいいあっ、違う、まちがえた……!震える手で、新たな言葉を紡いでいく。ふと呟いた言葉から繋がっていく縁。でも、ネットの世界は儚くて。送られていく言葉、届く言葉、間違いなく向こうには相手がいるのに。顔は見えない。まるで新月のように。その先の物語は、ぜひ本編で。この言葉のやりとりを、私は片方の文豪の言葉は知っていましたが、彼女が返そうとした言葉はこのお話で初めて知りました。そんな素敵な言葉をさりげなく教えてくれる、優しい、暖かな恋物語です。