「卓球やめちまえ。」チームメンバーである高橋弦矢にそう言われ、主人公である霞愛貴はそれ以来ラケットを握っていない。
「練習試合の助太刀頼む!」そんなメールを送ってきたのは、同じクラスの同級生兼、卓球部員である国安優希だ。
「約束通り、一番やりたくないことをやってもらうぞ。じゃあ、これに名前書け。それに親のハンコ。そして入部動機を下のスペースに書いてくれ。」そう言ってきたのは斉藤泰成という先輩だ。試合で負けたため約束通り、入部届にハンコを書くことをなる。
「辞める方法はひとつ、俺に勝つこと。それだけだ。」勝てるわけがない。しかし愛貴に反論はできなかった。
それはこの学校の卓球部には弦矢が所属していたからだ。
「えー、自分がこの中学校に来た理由は、卓球部を全国に行かせること。勉強やなんやら抜いてでもいかせてみせます。」そんなことを全校生徒の前で言い切って見せる栗田監督のもとで愛貴は卓球を教わることになる。
そして部員は自分を含めて、七人と少数。しかしひとりひとりが心技体が整い、強いことを知る。しかし、なぜ今まで成績を残せなかったのか疑問に思う。
ランキング戦という、選手の力量を確かめる総当たりが行われる。先輩、後輩関係なく行うため、全員が死にもの狂いで試合を行う。
先輩たちの悩みや自分の悩みを打ち明け、お互いに高め合っていく愛貴。
そして中学時代バスケットボールで有名だった優希がなぜ、高校で卓球を始めたのかを知ることになる。それは愛貴が大きく関わっていた。
『どうやったって全国いけねえよ、とか関係ない。行こうとしないから全国にいけない、これあたりまえだよね?』
『楽しんでないやつがいくらやってもうまくなるわけないじゃん』
『楽しみながら生きていくのがいいと思っていた。でもやっぱり負けるより勝つ方がいいよね』
『結局キーになるのは、ラバーやラケットではなく自分。』
『他人の意見や、プレーがどう見られるかなんて気にする必要はない。どうせどいつもこいつも自分のことで精一杯なのだから。だから自分を信じるだけでいい。』
『結局、一番心に素直なやつが幸せになれることは今までもこれから決まっているルールだ。』
もらった言葉という名の力を手に愛貴は新人戦で、あの日の敗北を克服する。
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