銀の糸 完結日:2019年1月24日 作者:本間 海鳴 評価:★★★★☆ 4.3死ぬために訪れた自殺の名所で、たまたま出会った男、イト。彼と共に「自殺の練習」をする私は、「もう死ななくてもいいのではないか」の一言を、どうしても言えずにいた。 宇宙人のような男と、弱くて脆い私の、遠くて近い恋の話。 話数:全14話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 女主人公 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 悲恋 日常 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
正直に白状してしまうが僕はこの作品になんの点数も与えなかった人間だ。読んで、面白さを理解したにもかかわらず。ブックマークも評価点もつけなかった。「銀の糸」に出会ったのは遅く、10話かそこらだったと思う。11話「発」ここで終わっていればもっと早く点数をつけていた。しかしエンドマークはここではない。僕の読解力は棚に上げてしまうが、一人の読者として、この美しい景色の先は蛇足ではないかと訝しんだのは事実だ。だから評価保留とした。終わりを迎え、僕は「完結済み」とカテゴリ名をつけたブックマークに名著を納める。ブックマークという広すぎる書庫の中の、古くて狭い本棚に蔵書が増えた、今日は良い日だ。評価は合計10、保留する必要はなかった。
望むなら、読んで損はさせません。作者様の卓越した「小説力」の威を借るようで恐縮ですが、力強く推薦させていただきます。とにかく、玉石混交が大前提のweb界において、これほどの作品に出会えることはそれだけで幸運なことだと思います。二人の登場人物が織りなす、あまりにも歪な依存生活。そこで起こる心情の変化、人としての成長、あるいは退化を十二分に読者に伝えきる、作者様の美しい文章力、表現力。冒頭で私が本作との出会いを「幸運」と称しましたのは、悲しいかな、web小説界、ことなろうにおいて本作はあまり読者数の多いジャンルではないからです。ともすれば、埋もれてしまいかねない傑作。いずれにしてもやがて陽の目を見るであろうことは間違いないところでありますが、少なくとも私は、いち早くこの作品に出会えたことをほくそ笑むこととします。一人でも多くの人が、私と同じ「優越感」に浸れることを望みます。
ネットレビュー大賞 応募レビュー自殺のためにやってきた場所で出会う二人。結局自殺は取りやめとなり、何の因果か「イト」と言う名の、そこにいた男は、「私」によって飼われる事となる。私が自殺を考える理由、それは弱さ。そして結局私は縋りたいのかも知れない。たまたま違う理由で、たまたま同じ場所で自殺しようとしたイトへの意識が強くなる。飼われる、という体のいい? 言い訳でヒモ生活を送るイトに、徐々に依存する私。そしてそれは、これから逃れられない鎖になるのだろうか。この小説の題名にも使われている「糸」というワードが、様々な繋がりをインスピーレーションさせてくれます。恋愛と言うには余りにも汚く、ずるく、卑怯な関係の二人が、今後どうなっていくのか、気になる作品です。まだ五話ですが、これからの展開が楽しみな良作だと思います。