羊まもりのミティテル 完結日:2019年1月16日 作者:稲見晶 評価:★★★★☆ 4.4【冬童話2019参加作品】 トランシルヴァニアの丘に暮らす羊たちは、ある春の日に、ふしぎな生き物の赤んぼうを見つけます。 ミティテル(ちっぽけ)と名付けられたその赤んぼうは、育つにつれて羊とはどんどん違っていき——。 話数:全3話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 ルーマニア 童話 羊 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
私たちは自分以外の別のものにはなれません。どうあがいても私は私。けれどそのために愛する家族から離れなければならないとしたら、どうすればよいのでしょう。物語の主人公は、ミティテル(ちっぽけ)と名付けられた赤ん坊。羊の群れに保護されたミティテルは、群れの皆から羊らしく生きることを教えられます。ミティテルはみんなが大好きです。だからみんなとは違う形の蹄を必死に削り、お腹が膨れない牧草も我慢して飲み込みます。ところがある日、ミティテルは偶然仲間を傷つけてしまいます。怪物と恐れられたミティテルは、群れを出ていくことになるのです。自分が本当にいるべき場所を探すために。ミティテルの変化と同様に注目したいのは、羊の王の言葉です。ミティテルとともに考え、ともに歩む。その言葉は羊が牧草を反芻するように、何度も噛み締めたくなるものばかり。読み終わったあとには、涙が思わずこぼれてしまうそんなお話です。