評価:★★★★★ 4.6
ネアは、歌乞いだ。
魔物を捕らえ契約し、一つの働きに対して、対価として命を削って一つの願い事を叶える。
しかし異世界に落とされ最弱の魔物と契約してしまったネアは、この世界での唯一の庇護者である第二王子からも婚約破棄を宣言されてしまう。
おまけに、捕まえた魔物のディノは、その凄艶な美貌からは想像のつかない明らかに特殊な嗜好の持ち主だった。ネアは決意した。
一刻も早く転職して、この厄介な薬の魔物と縁を切ろうと。一人ぼっちだったネアが、一人ぼっちだった魔物の王様に出会い、ご主人様大好きな魔物やその他の人外者達と過ごすほのぼのな日常が主線軸です。
美しい世界の季節の祝祭に、おかしな生き物達、そして美味しいご飯と時々大惨事になる事件とお仕事の物語。
時々魔物は魔物らしく酷薄になり、時に純粋無垢に、強欲な人間に苛められてびゃっとなります。
時々主人公は狩りの女王になり世界を震撼させ、元王子様は常に胃痛。※名前がサブタイトルのお話は特定の人物の幕間の物語になります。また、本編外には主人公以外の人物目線のお話もあります。本編を補填する幕間の要素が強くなり、本編とは時系列が前後しますことご容赦下さい
話数:全980話
ジャンル:ラブコメ
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
異世界の話に興味はあるだろうか。大晦日の夜には化け物がでるし、夜の砂漠には猫の商隊がいる。聖女は良い煙草になるし、薔薇の糖蜜を妖精が結晶化させたお菓子もある。光竜の骨で出来た傘はやんちゃだし、森の賢者は危険なベルを持っている。そういう世界に惹かれてしまう人は是非読んでほしい。異邦人であるネアと、彼女を通して語られるこの物語はただの異類婚姻譚ではない。980話という圧倒的な質量を持って、そこに住む人々や人外達の悲劇や喜劇がある世界が生き生きと描かれている。読み終わる頃にはウィームに行きたくなるはずだ。私は行きたい。とても行きたい。出来れば薔薇の祝祭とイブメリアの時期に行きたい。なお、あちらの竜は愛するものの拒絶に弱い。精霊は相手をよく取り殺してしまうし、妖精は侵食することを愛と呼ぶ。人魚の求婚は猟奇的ですらあるので、ぜひとも読んで確かめて欲しい。
この話は読み手を選ぶ作品だとは思います。読みはじめは正直、唐突な出だしからの流れなため何が起こっているのか不明で読むのを止めてしまう方も中にはいるかもしれません。ですが、徐々に物語が進んでいくうちに景色や国の成り立ち、登場人物の内面に触れ物語に引き込まれていきました。一番は孤独と疎外感、自らの足りなさを持ちながらも満たされていく感情の変化が素晴らしく心に響きます。誰からも好かれたいと思い疲れてしまっている方には特にお勧めします。また推理小説を読むような伏線の引き方がたまらなく好きです。誰も愛せないと線をひいてしまい自分の内側に閉じ籠っていたとしても、誰かと出逢い何か違うと距離を置きたくなる人にも。決して優しいだけ世界はないのだけれど、自分らしくあること、譲れないものを見つける選択はいくらでもあるのだと気付かせてくれるでしょう。
まるで外国の小説を読んでいるかのような物語。よく見かける異世界もの、登場種族たちだというのに、こうも目新しい見方ができる物語は他に見たことがない。一見淡々とした文書で綴られていると感じるが、その中で登場人物たちは生き生きとし、吸い込まれるような魅力を放っている。所謂モブを含むほぼ全ての登場人物たちの物語や心情が語られ、むしろモブという存在はおらず、それら全てがあるからこその本編なのだろう。桜瀬先生の発想力、語彙力、表現力、文章力は見習いたい。何故書籍化やアニメ化がなされないのか不思議。映画化も切実に希望。尊すぎてできないか、なろうで二次創作を作りたいと思った初めての作品。完結してしまったが、ずっとネアたちの歩む世界を覗き見ていたい。短く言えば、好きすぎてやばい。アルテアさんマジ推し。大好き。魅力を語り尽くせなくてつらい。この物語に出会えたことと桜瀬先生に感謝を
初めてレビューを投稿させていただきます。とにかく「大好き」の一言です。キャラクターも世界観も素敵ですし、クスッと笑えたり、ほろっとしたり、爆笑したり、胸が詰まったり、あーあと生温かい目で見たくなったり、色々な気分が味わえるとても贅沢なお話です。伏線もいっぱいです。初めの頃におやっと思っていたスープ屋さんのお兄さんが最後の方で出てきた時には、思わず「やっぱり!」と叫んでしまいました。また、お話しの中に出てくる祝祭がどれもものすごく面白いです。個人的には傘祭りが大好きです。完結してしまい、三度目の傘祭りのお話が読めないと判明し、orzになりました。番外編で書いていただければ狂喜乱舞します。ちょっと長いな、と思って読まずにいる方、損しています。大丈夫です、面白くてすぐ読んでしまいます。私なんて四周目です。ぜひ多くの人に読んでいただき、この面白さを共有できればと思います。
"薬の魔物"と聞いて、どんな存在を思い浮かべますか?異世界に落とされたネアが契約してしまったのは、最弱な薬の魔物……になりきれない魔物の王様。初対面のはずなのに「ご主人様!」と懐いてくる魔物と、なんとか彼を解雇したいネアの攻防から物語は始まります。事故りやすい使い魔、にっこり笑う死者の王、ボール遊びが欠かせない銀狐。どんどん増える仲間たち(?)と巻き起こる事件の数々。でも、おとぎ話のように楽しい世界かと思いきや、壮絶な悲劇もあって。綺麗ごとだけじゃ語れない世界では、すべての登場人物にドラマがある。ときおり奇跡を起こすのは、そんな誰かの願いかもしれない。ひとりぼっちだった彼らが美しい世界で過ごす日々。何でも手に入りそうな魔物たちが不器用に距離を縮めていく姿は、もどかしくて愛おしい。"時を忘れて夢中になれる物語を探している"あなたにぜひ読んでほしい、心揺さぶるファンタジー。
友人からの紹介で読み出した時は既に600話を超えていました。600超えを読みだすのはキツイ…いやでも面白くてたまらないと言っていたから、、と、読み出したら!!あなたも止まらないですよ!!いつのまにか最新更新に届き、なおかつもう一周読み出してしまう!!ファンタジー作品はいろいろありますが、こんなに情景が豊かでご飯が美味しそうで、魔物たちキャラに愛を感じまくる作品など、他にあったでしょうか?いや、ない!!(笑)魔物だけでなく、人間たちのちょっと残念なところなどももう、美味しく楽しめます!!まだ読んでない方は、是非読んでいただきたいです。
人間と魔物に妖精に精霊に竜といった人外者達が、おいしいご飯を食べたり、狩りをしたり、お祭りに参加したり、ほのぼのしたり…復讐を遂げひとりぼっちだったネアが契約の魔物であるディノを初め、領主や騎士、妖精の王族に仮面だったり選択だったりする魔物や、終焉や塩の魔物、不思議な生物や竜など、様々なものに出会いこのひどく美しく恐ろしい世界を割と強かに生きていく。そんな日常を楽しく、時には悲しく、そして幸せに見ることの出来る物語です。登場人物全員の作り込みがすごく、序盤に名前だけ出てた人物が後に思ってもいなかった登場をしたり、読んでいてわくわくする気持ちがたくさんです!100話まではプロローグのように感じ、それ以降は続きが気になってどんどん読み進めていけると思います!魔術があり人外者もいるファンタジーな美しい世界にどっぷり浸かることの出来るおすすめの小説ですので、ぜひ読んで見てください。
「クリスマスには、幸せな思い出が沢山あった。一人で涙を流すには勿体無い特別な日だ。だから、クリスマスの朝は静謐な美しさに冷たい空気を吸い込み、微かなほろ苦さを飲み込んでから大好きな日をめいいっぱい楽しんだ。」そんな日々を送っていた女性が、異世界に呼び落とされて始まる新しい日常の物語です。長い物語ですが、様々な人物のエピソードを語りつつも、主題はずれることなく、主人公の2年数か月の日常と事件の軌跡をつづっています。中世風でもなれば、何風でもない異世界で、地団駄を踏みたいほど美味しそうな食事、ファンタジーの結晶のような風景、反応に困るような奇妙な生き物に出来事、日常で、事件で動く心の機微が美しい文章で描かれています。しかもそれが長い物語の間に折り重なり、登場人物の性格も関係性も一言では言い表せなくなっていきます。どんな言葉で収まりきらない彩りや陰影を是非!
この小説に出会って、私は毎日一つの幸せを約束されていました。このお話は、ありがちな設定から道中いつの間にか読者を沼に引きずり込み、900話越えの物語を3周じゃまだ甘いと言わせるだけの世界に誘います。話数が多いのは、1日1話のその季節その日の物語が進むからです。そこには、目を奪う美貌の魔物達や愛情深い竜達がいて、少し怖い妖精がいます。忘れられた書庫で泳ぐ本の鯨がいたり、水晶の歯車で釣りをする指輪の中の避暑地があります。まずは、この世界を知る84話まで。この辺りであなたは、ウィームに移住を考え始めます。143話の歌劇場のイブメリアで、物語はクリスマスに。このお話をクリスマスに読んだらもう、この沼からは出られないでしょう。ここではないどこかに行きたいあなた。救いのある再生と愛の物語に触れて、涙を流して安堵したいあなた。物語の「今日」に追いつきませんか?
この物語は最初から面白い、面白いがちょっと独特な話の運びの方が気にかかってしまいあなたは先の長い物語に読むのを躊躇うかもしれない。 というのも、今では7年で読んだ千数百作品のうち一番好きだと自信を持って言えるが、最初30話くらいで続きを読むのを迷ったことがあるからだ。取り敢えず100話読むという習慣がなければ、そこでこの物語とお別れしていたかもしれない。 100話を少し超えた頃に分かったがこの作品の面白さはこの世界に触れ続け呑み込み自分の中に形ができた頃から加速する。100話より200話、200話より300話どんどんどんどん面白くなっていって900話を超えた今では完結が惜しくて魔物達のように慰留活動をしたくなるほどだ。この世界の面白さも美しさも豊かに広がるばかりで脇の悪役でさえも愛しくなる素敵な物語だ。だから安心して続きを読んで欲しい。