誰がために決闘を

　二十二世紀、科学の発達によって「電子決闘」という一つのスポーツが生まれた。コンダクターと呼ばれる機械を人体に接続することで、呼吸や脈拍まで制御し、装着した特殊な装甲と同期することで筋力や瞬発力をサポートすることで人体の能力を最大限まで引き上げることができる。このスポーツは機械によって人体が統制されるため、世界一平等なスポーツと呼ばれ、世界を熱狂の渦に包み込んだ。
　電子決闘を専門とする学校の生徒である熊田正幸は、選手生命を試合中の事故によって失った姉、熊田響のため人型コンダクターである紅と共に毎日練習と試合に汗を流していた。しかし彼は負けてばかり。二年間一度も白星を得ることのないまま日々を過ごす。いつか姉の夢を代わりに叶えるのが、正幸の目標だった。
　しかしそんなある日、姉の選手生命を奪った張本人であり、日本王者である梶井弥枝に会う。因縁の出会いから彼等の物語が始まる。

　ラノベ新人賞落選作。供養中です。