評価:★★★★☆ 4.2
そこは、奇妙なカフェだった。
『4U カフェ*生き辛さ』
開店時間:午前中〜閉店時間:夜
『どなたもどうかお入りください。
決してご遠慮はありません。
ことに、生き辛いお方や差別偏見をお持ちのお方は、大歓迎いたします。
当店は問題の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください。
問題はずいぶん多いでしょうがどうか一々笑って下さい』開店時間は店員が集まり次第、閉店時間は店員が疲れたら閉める、ゆるゆるな職場。
そのカフェに集まるのは様々な問題や生き辛さを抱えた人達。
バリバリ働くのに疲れたあなたへ。
生き辛さを抱えた君に贈る物語。
話数:全30話
ジャンル:ラブコメ
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
桜は脳の病気により一度全てを失い絶望します。ドクターストップにより仕事も出来ず、劣等感と自己評価の低さから鬱々と死について考える日々。そんな日々は一人の友人の助けから急転!「死にたいと思う事は悪い事じゃねえ。誰にでもある。それもお前の『大事な感情』だ。死にたくなったら俺に言え。幾らでも聞いてやる。いいな」翌日連れてこられたのは『4U カフェ 生き辛さ』。様々な障害や難病、生き辛さを抱えながら日々笑顔で過ごすカフェの面々は個性豊か。「……私、此処に居て良いんですか?」「ここはカフェ、生き辛さ。フォー・ユー……つまり、あなたみたいな子の為にあるお店よ。居て良いに決まってるじゃない」——上を向いて生きる事だけが正解じゃない。どんな苦労も笑い飛ばして行け。明日=明るい日。世話焼きのイケメン桷とチャラいが一途なお兄さんの冬夜との緩い三角関係にも注目です!
この作品では統合失調症の少女 桜が主人公です。彼女は病気の所為で社会に対して孤独と絶望を憶え、電車に飛込自殺しようとします。その時助けてくれた男性友人の桷により4Uというお店で共に働く事を勧められます。そのお店に集う若者達は自分の病気や障害を個性として扱い、隠す事無く皆が問題を共有し明るく逞しく生きています。生き辛さを抱えていた桜は、お店で働く内に自らの問題に向き合う強さと頼もしい友人を得るのです。自分にも双極性障害と発達障害を抱えた家族がおり、この作品を読んだ時、是非この作品を皆さんに読んで頂きたいと強く思いました。この物語は書きにくい病気や障害と言った問題に明るく前向きに取り組んだ革新作です。明確な説明と客観的な立場で書かれた作品です。この小説では魔法や剣は出て来ません。ですが今を生きる多くの人達に見て頂きたい作品です! 皆さんも是非読んで見て下さい!!
物語の舞台は一軒の不思議なカフェ『4U 生き辛さ』。開店時間は『朝』、閉店時間は『夜』。ざっくりした時間設定に、変わった店名、宮沢賢治の『注文の多い料理店』をもじった印象的な注意書き。通称『問題の多い料理店』。Mr.エンターテイナーと呼ばれるパフォーマーMJ、『妖怪一口くれ』と呼ばれるサバイバル系男子、世界の秘密を知ってしまった女性。作者の薬や脳の病気に関する豊富な知識量、経験、水のように透き通った繊細で緻密な描写が作品にリアリティと奥行きを与えており、登場人物達が生き生きと喋り出す。テーマは脳の病気と重いのにそれを感じさせない明るさ、ライトさ。病気をこれ程前向きにポップに描いた作品は初めてです。様々な生き辛さを抱えながら明るく働く人々の物語。最終話で明かされる主人公の親友の悲しい過去と希望。二十代の若者達の青春と日常を描いた爽やかな読後感のある作品です。
理由は無くとも生き辛い。そんな風に感じた事はありませんか?ありのままの自分でいたいけれど、空気を読んで言いたい事を飲み込んで、本音を隠して生きている。社畜としてガリガリ働いて心を擦り減らして、家に帰って寝るだけの生活。この物語に登場する『4U カフェ 生き辛さ』では出勤時間は自由。終業時間も自由。疲れたら休むのも早退するのも自由。なんとお給料は半ドンでもフルタイムでも一緒!?『問題の多い料理店』を自称するだけあり、日々順調に問題だらけだけれど、カフェで働く面々は個性豊かで人として暖かく穏やか。重い過去を背負っていても、明るく笑う。「悩みに貴賎も大小も無いと思います。他人から見たら大したことが無いとしても、あなたにとって辛い事なら大問題です。一緒に解決策を考えましょう?」最初の数話だけ展開はラブコメとしては暗めですが、物語が進む内に明るくなっていきます!
主人公の桜は脳の病によって引きこもり生活を余儀なくされてしまいます。両親への後ろめたさからろくに食事も摂らずボロボロの生活を送っていましたが、高校時代の友人の桷との再会、駅での出来事から物語は動き出します。『4U カフェ 生き辛さ』に連れて来られ、カフェの面々と接していく内に桜は少し救われます。私自身も発達障害で注意欠乏や過集中のため毎日薬を服用しています。幸いなことに空気を読むだとか、発言の裏の意味を察しなければならないような職ではないため助かっている部分は多々あります。病気を言い訳にするつもりもありませんが。カフェ4Uには様々な病気のメンバーが働いているのですが、皆明るく病気のことを嘲笑ではなく純粋な笑いとして接しているんです。そこに絶望はなく、明日を生きる希望に満ちています。この作品を通して差別や偏見が無くなり、皆にとって優しい世界でありますように。