評価:★★★★☆ 4
アリーこと魔女のアウレリアは、大復讐を遂行する。
『魔女』と呼ばれる人間が存在する世界。彼女たちは奴隷とされるか、息をひそめて暮らしているか、それとも殺されるか。いずれにしても不遇な存在だ。
そんな中、魔女を束ねた一団がひっそりと結成される。奴隷だった者達によって構成されるその組織は、ひとつの壮烈な目的のために作られたものだった。それは、あの日の復讐。主人の少女が受けた苦痛への反逆だ。
しかし現状、組織は少年たちが痛んだ身体を寄せ合うだけの小さな家族だった。彼らはようやく訪れた平穏に満足し、主人ですら目的を忘れかけていた。この平和が家族に永遠の安らぎをもたらすのだと、誰もが思っていた。
そして転機は訪れる。些細なきっかけでその存在が明るみになり、彼女たちに再び恐怖と不安が迫る。『魔女狩り』の手から逃れるため、虐げられた魔女の再起を成し遂げるため。そして、復讐のため――追い詰められたアリーは、とうとう大逆襲計画を始動させるのだった。
話数:全81話
ジャンル:エピック・ファンタジー 異能バトル
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
そこは奴隷制度の下に人々が住まう国。生まれながら、或いは生まれ落ちた後奴隷とされた彼ら彼女らは人でありながら人でなく。光を求めることもできずに弄ばれ犯され、穢されていた。 一人の少女が地獄から抜け出し、雪の降る中必死に抗っていた。そんな少女に救いの手を差し伸べたのは……自分よりも幼い少女だった。 彼女は自らと同じ境遇だった者達を救い、家族となって暮らしていた。人里離れて慎ましくも幸せな生活を送る彼女たちを、しかし運命は見逃しはしなかった。彼女らは『時代』という怪物に飲み込まれることになる。 少女は戦う。家族の為に。家族は戦う。自らを救った少女の為に。 そして────悪に堕ちる。『復讐』のために。 かつてないほどのスケールと重厚感で繰り広げられるダークファンタジーここに開幕。「だれか──だれ──」 魔女は復讐戦争で破滅する。
アウレリアことアリーは魔女だ。魔女はこの世界では恐れられており、奴隷として働かされる日々である。聖なる夜、アリーは雪降るその日に逃げてきた『同志』を『救世主の集い(ホーム)』へ迎えた。魔女が集まり『家族』として平穏を過ごしていく。痛みも、視線も、悲しみもない毎日。家族は幸せだった。アリーも幸せだった。だが、アリーの魔女としての側面が、復讐の灯火を消えさせない。一度付いた火は燃え尽きるまで終わらない。着々と下準備をし、破滅への道を確実に歩いていく。徐々に変わっていくアリー。家族はそれぞれの心情を抱え、ついに戦争が始まる。戦争が始まっても終わらない。何故ならこの戦争は国の為でも、個々の家族の為でもない ーー 『魔女』の復讐戦争だ。これは、アリーの物語ではない。翠眼の魔女が破滅するまでの物語。
この小説の見所は、やはり何処にでもある描写の描き方が美しく、そこに違和感失くキャラクターの心情を入れてくる所です。 個人的に、バトル小説に飽き飽きしているお方におすすめしたいです。 温もりある日常描写だったり、少し不穏な空気が漂っていたり、所々気になる伏線が散りばめられており、読み込めば読み込む程、楽しい小説です。 因みに、私の好きなキャラクターは【ドロノフ】さんです(唐突やな) 中々に濃い女性陣がいる中、異彩を放つとても輝いているいい男です。彼なら俺は抱かれ……(殴 時に心が痛む場面がありますが、それは作者様が心を込めている証拠であり、それだけ真剣に作られている小説だからです。 読み込む程面白い小説なので、家でゆっくり読むのをおすすめします。
とにかくダークなファンタジー。もはやファンタジーとは言えないほどリアリティがある。中世ヨーロッパ風の世界で虐げられた者たちを描くこの物語は、文字通り辛い現実を突きつける。これは一種の歴史小説だ。主人公のやりたいことは一切明かされない。謎をはらみながら、傍観者として物語をなぞっていく。そんな一風変わった小説スタイル。まるで独裁者のような主人公アリー。アリーの家族たちは次第に彼女に疑問を覚え、彼女のやり方に異を唱え始める。だが、それでもアリーは突き進む。己の正義を信じて、いつの間に孤独になっていたことにすら気付かずに────復讐戦争で破滅するアリーは、最後に笑うのか? それとも泣き叫ぶのか?複雑で遠回しに描かれたセリフと描写に、あなたはどこまで読み込みますか?在り来りじゃない主人公や小説が読みたい人にオススメ!暗くて重い小説が好きな人は絶対に楽しめるぞ!
結末はすでに明かされている。「魔女は破滅する」と。しかし、魅力的なキャラクター達に惹かれ、読み進める。読者を裏切る展開と、程よくメインストーリに絡んでくる過去の謎。ページをめくる手がとまらない。すでに結末は分かっている。彼女は破滅するのだと。だが、「なぜ」破滅してしまうのか?プロと言われても疑わないほど緻密に編まれた物語という名のタペストリ。今後の展開に期待!