評価:★★★★☆ 4.1
私と知沙ちゃんは同じクラス。
そのクラスは変わってて、トライアングル教室って言われてる。私たちの教室はチャイムが鳴っても席を立たなくていい。ソファがあって、ギターがあって、私たちは学校に来て読書や音楽やいつのまにか昼寝をする。
そんな毎日だった。*本作は、武 頼庵(藤谷 K介)主催、「第二回初恋・春」企画に参加作品です。
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(c) なななん 2019
話数:全4話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:ガールズラブ
トライアングル教室と呼ばれるこの場所は、普通と少し違う子が、違った時間の流れで、違った学校生活を送る場所……。 でも、ここに在籍する子どもたちだって、必死に考えて、必死に答を出そうとがんばっている。 こんな教室、実際にだってあるかもしれない。こんな子どもたちだって、本当にいるのだ。 恋をしたから、この場所から飛び立ちたい……。この子の決意は、見護ってあげたくなるはず……。残ることを決めた子の決断を、褒めてあげたくなるはず……。 恋をする……って、とても、大きなエネルギーと、大きな勇気と、不安を乗り越える強さが必要になるのだ。 この物語はフィクションである。でも、わたしは別の視点を持って、皆さまにおすすめしたい……。 苦しいけど、素敵な物語……でもあるのだから。
トライアングル教室と呼ばれる、普通とは少し違うクラスがあった。そこで共に過ごしている美佐と知紗は、とても仲良し。好みも見た目も何もかも違う2人だが、その睦まじさは双子のようであった。 ――しかし、例え本当の双子だったとしても。違う人間である限り、違う幸せを見つけて、違う人生を歩んでいく。この心地良い日々は決して、永遠のものではない。 そして、その永遠に幕を下ろすのは――ひとつの「初恋」であった。 永遠ではないと知りながらも、それを受け入れきれないもどかしさ。初恋のいじらしさ、そして別れに伴う切なさ。甘いようでどこか苦く、しかし決してそれだけではない2人の少女の物語です。なななん先生ならではの緻密で切ない心理描写、さらに美佐と知紗を見守る大人達の背中にも見所が溢れております。 ぜひ、ご一読ください!
中学二年生。誰もが人生の中で一番、いろいろ悩んだり考えたり、そして初恋を覚える季節ではないでしょうか。トライアングルと名付けられた教室で、いつも一緒にいる似た者同士、仲良しな二人の少女たち。いつまでもずっと二人、そう信じていたけれど。いつか別れの時がくることを、片方の少女は切ない形で知ることになる。傷つきやすく、壊れやすい年頃の女の子の心理が、とても丁寧に書かれています。初恋って、ほろ苦いものですね……。
中学二年の、美佐と知沙はとてもよく似た女の子。 少しみんなと違っているところはあるけど、ふたりだけの教室で、仲良く本を読んだり、ギターを弾いたり。 しかし、ずっと続くと思っていた二人の関係は、とある「初恋」から大きく動き出して…… 初恋未満から、自分を奮い立たせて、自分と世界に向かい合っていく。共存共生の「巣」からの旅立ち。自立へと。 鳴り響くトライアングルが、余韻を残して沈黙したその時こそが、ふたりの新たな成長の合図なのです…… 読了後は、さわやかな風が貴方の胸にも吹き通りますぞ!