〈2018年3月23日〉タイトルを『異世界転生者だけで構成された伝説のパーティができるまで』から『チート能力付き異世界転生者だけで構成された伝説のパーティができるまで』に変更しました。
小国の寂びれた集会所のテーブルに、その4人はいた。
彼らはそれぞれが単独で魔王を倒せるほどの実力をもつ、異世界転生者である。
銀鎧を身にまとった長身の騎士は40代相応の少しくたびれた長髪を、後ろで結びなおそうとしていた。その鋭い灰色の瞳は獲物を見定める狩人特有の覇気をまとっており、左の頬と顎にある傷痕が、歴戦の強者であることを物語っている。
向かいに座る若い男は、白い肌と金髪とのコントラストで際立つ黒い道着を結びなおそうとしていた。道着の胸の隙間から、その細身のシルエットには似つかわぬ筋肉を覗かせ、握りしめた拳は武道家らしく隆々としている。
その男の横で退屈そうに、少し緑がかった黒髪を人差し指で弄っている女は、黒紫のローブのフードで顔を半分隠していた。血色のよさそうなピンクの唇は、いつもの仏頂面でクセになった一文字のままで、右手に持っている木製の杖は彼女の小柄な体格との比較で非常に大きくみえる。
久々に集まった3人の様子を眺めて嬉しそうな男は平凡な村人のような恰好で、逆にそのテーブルに座っていることの異質さを醸し出していた。麻のシャツ、革のズボン、短いブーツ、黒の短髪、標準的な身長と体重は、どこへ行っても違和感のない人間を演じるには充分である。
そんな彼らに今日も常人ではこなすことのできない依頼が飛び込んでくる。
「おらたちの村に〈ナーガ〉が現れました」
「なんだナーガか」
「競争といきますか」
一国を滅ぼしたこともあると云われる恐ろしい魔物を暇つぶしの道具にしてしまう4人が、なぜパーティを組むに至ったのか。
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タイトルにある、チートとは何か?ボルヘルが持つ【補綴】ブルースの持つ【功夫】アリアドネの持つ【哲学】そして、マルクの持つ【労働】どれもこれも一風変わった能力です。……実は、一つまだ概要が見えてこない能力があるのですが、ある程度、見えている三つの能力があまりにも個性的なので期待は高まるばかり。そして、それぞれのキャラクターが能力を持つに至った理由にも工夫が見られます。ここまで、工夫を凝らして能力を構築している、この作者様のこと。彼らが、第二の人生を歩む世界の構築にも、いささかの疎漏も無く、グイグイ読者を惹きつけることでしょう。あまりに見事な「ファンタジー世界」が、貴方の目の前に広がります。この興奮を貴方も体験してみませんか?