評価:★★★★☆ 4.4
高校1年のカケルの夏休み、突然始まった《動物がしゃべる生活》
それは隕石が落ちたことから始まった現象だった───しゃべる動物たちをめぐって、カケルのベランダが『秘密基地』へ。
さらに、動物を通して『自分の家族の形』がゆっくりと浮かび上がり……飼い猫のハチコとモップ、そして、宇宙の使者カメさんと、菓子パンのおこぼれで仲良くなったカラスのカンタ、そんな彼らとおくる、青春ファンタジー!
クラスの可愛い女子代表・井上さんも急接近!(飼い犬のハチミツも)
カケルの走り出した青春は止まらない!?大切な仲間と、信じられる人と、『今を楽しむ』カケルの姿、ぜひ、お楽しみください。
《第四回書き出し祭り 第二会場 3位に入った作品の連載となります》
★編集者ツッツーさん、添削OKです!★
話数:全63話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
不思議な隕石が降ってから、言葉を話すようになった動物たちとのほのぼのとした話。それでありながら、ネグレクト気味の親を持つ少年の痛みの物語でもあります。当り前の愛情を与えられていないた主人公のカケル君が、自分で作り上げた動物たちとの家族関係やベランダの秘密基地の中で心を守り、言葉というコミュニケーションを通して成長していく話なのだと思います。丁寧に紡がれた、子供にも読ませてあげたいジュブナイルです。
本作は、突然しゃべり始めた動物たちと、少年の絆を描いた作品。文章はきれいで読みやすく、動物好きを惹き込む可愛らしいシーンが満載。ほのぼのと読んでいられる傍ら、小さな棘のように刺さる物がある。主人公を囲む歪な家族関係と、動物たちを狙う不穏な影。愛する動物たちを守ろうと奮起する主人公に、良き理解者も現れて、物語は深まっていく。心温まるシーンの中に散りばめられた不穏。これが読み手の心を引き付ける一つの要素に違いない。動物たちの発する言葉と、人間たちの発する言葉の違いに気づき、その行動描写からも目が離せなくなっていく。動物たちと少年が織り成す、ほのぼのドキドキストーリー。是非ご一読を。
■言葉は不思議だ。使い方も宿している情報も基本はおなじなのに、それを扱う者によって起こされる結果は全く異なってしまう。優しい言葉が傷を癒やし、力強い言葉が勇気を鼓舞する。陰湿な言葉が相手を傷つけ、鋭い言葉が相手を殺す――そう、言葉はそれを使う者の『心』によって様々に形を変えるのだ■本作が設定の重要な鍵として盛り込んでいるのが『人語を解し言葉を発する動物たち』だ。猫が、鴉が、亀が、シーズー犬が、その可愛らしい外見に見合った、あるいは予想を突く言葉を自在に操る姿が読者の目を引く。ときには可愛らしく、時にはスリリングに――、そして人間の持つ偏見も我欲もない純粋な彼らだからこそ、その動物たちが紡ぐ言葉は心地よいくらいに和むのだ■それに反して主人公のカケルを囲む人間たちの発する言葉の醜さにあなたは驚くだろう。そんな過酷な日々をカケルは〝仲間たち〟と切り抜けていく。その絆が素晴らしい作品だ
ある日、突然、隕石の影響で飼い猫や馴染みのカラスが喋りだした!日本語を流暢に。そこへその状況を説明する亀が現れて。ああ、細かいところはどうでも良いのです。お読みになれば解ります。主人公の境遇は、決して恵まれているとばかりは言えないのに、この作品の根底に流れる優しさに、きっと尖った心もまあるくなります。黒い服で喋る動物たちを連れて行こうとする集団。そんな不穏な動きもありますが、最後はきっとハッピーエンドで終わると信じたいです。
世界に隕石が落ちた日から、動物達がしゃべり始めた――動物好きなら悶絶必須のほんわかして可愛らしいシーンを主軸に、垣間見えてくる謎と不穏な気配。まだストーリーは序盤ですが、これは少年が世界の理不尽に立ち向かっていく正統的なジュブナイルだと思います。主人公の味方になってくれそうなヒロインも登場して、この先の展開が実に楽しみです。あと、シーズーが男らしくてかっこいいw文章もこなれて読みやすく、主人公への感情移入も容易だし、猫ちゃんがあああああっ、という感じですので、まだの方は是非ご一読を!