評価:★★★★☆ 4.1
鷹也は妻の彩を愛していた。彼女と一人娘を守るために休日すら出勤して働いた。
余りにも働き過ぎたために会社より長期休暇をもらえることになり、久しぶりの家族団らんを味わおうとするが、そこは非常に味気ないものとなっていた。しかし、奮起して彩や娘の鈴の歓心を買い、ようやくもとの居場所を確保したと思った束の間。
医師からの検査の結果が「性感染症」。
鷹也には全く身に覚えがなかった。あるとすれば「彩」一人だったのだ。
※H31.01.10 男を鷹也に、妻を彩、娘を鈴へと改稿しました。
話数:全111話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
家族のために、愛する人が心安らかに暮らせるようにと、男は仕事人間となった。妻は自分のことをわかってくれて、家庭を守ってくれていると信じていた。それなのに、一番受け入れがたいことから、妻の裏切りが発覚した。怒りに任せて離婚を告げて、だけど自分も悪いところがあったと気づいた日、妻は家を出て行った。私は最初、男のことを、自分の見たいようにしか見ない男だと思って、嫌いだった。妻も勝手な思い込みや甘言に乗って、不倫に走ったことが許せなかった。でも、人間は誰しも過ちを犯します。その過ちに気づいた時に、どう向き合っていくのか。どうすることが正しいのかはわかりません。でも迷い傷つき、それでも考えて、最良の方法を探し出す。残酷な真実を乗り越えた先に待つもの。それを皆様も自分の目で確かめてみてください。
内容に関しては斬新な設定があるわけではなく、あくまでも日常を日常らしく描いている作品。文章に関しても、特に凝った文章表現があるわけではない。でも、だからといって退屈な印象を与えない。そこに凄さがある。なぜか。 この物語は、押し付けがましいことをしてこないから。 世の中には格好良い文章を目指して凝った表現に走り、読者を置いてけぼりにしてしまう作者がいる。そういう物語はあくまでも作者のための物語であり、読者のための物語ではない。 読みやすい文章、明確な展開、そして数々の工夫。気付いたら最初から最後まで一気読みしていた、なんて人がおそらくこの作品の読者の中にはたくさんおられるだろう。それは、読者のための工夫をしているからである。テンポやリズム、文字数の設定や記述トリックまで、押し付けがましくない工夫を挟んでくる。 そんな読者のための物語を、ぜひ完結記念にオススメしたい。
主人公の鷹也は幼なじみのアヤと結婚します。ほどなく、娘のスズが生まれます。自分が家族を養わなければと、鷹也は気負います。仕事に没頭する鷹也。帰宅は月に一度。娘の成長はメールで見るだけ。あまりの状況を見かねた社長は、鷹也にひと月の休養を指示します。久々に帰宅した鷹也は気づきます。我が家に居場所がないことを。同時に悟ります。この状況を招いたのは、自分自身であることを。鷹也は自分勝手さと傲慢さを反省し、奮闘します。アヤとの関係を修復し、娘のスズとも本物の父娘の関係を築きます。もう大丈夫。俺は家庭を取り戻した。ようやくそう思えたとき、鷹也は性感染症にかかります。ですが、鷹也が関係を持ったのは、妻のアヤだけ……物語は半ばを過ぎたところ。連日盛り上がる感想欄の熱気に、冬の寒さを忘れてしまいそうです。
夫・妻・子供一人で構成されるとある家庭。普通であるはずの日常。そんなある日、診療所にて発覚する感染症=妻の不倫。夫はどのように日々をすごし、妻に裏切られたのか。妻は夫が帰らない生活の中、どういった心理で不倫をすることになったのか。主人公である夫側で語られていく彼の生活。彼がどれだけ家族を思って働いてきたのか、熱い思いが伝わってきます。読みすすめていくうちに、読者はいろいろ考えます。妻の完全なる落ち度なのか?いや、夫にも妻を思いつめさせてしまう何かがあったのでは?いやいや、夫も妻も最悪の事態になる前に何かしら行動することはできなかったのか?待て待て、視点を変えてみよう。一番かわいそうなのは子供では。きっと複雑な気持ちになり、いろいろな意見をもつことでしょう。私は普段、不倫ものは読まないのですが、こちらの家族が気になってどんどんページを進めていました。
ブーバン様の作品はどれもこれもがおもしろく、そして読者を引き込むような文面です。どの作品も素晴らしい中、この『不倫』をテーマにしたこの作品は特にすごいものです。『不倫』それは一種の魔が差した行為にして、誰もが踏み外してしまう行為。それを日常と言う風景で織りなす人間模様。そして心境や変化をきめ細やかに描写する。これからそのとある家族はどうなってしまうのか……。幸せの中に潜む闇は、どの家庭にも潜んでいる。その闇の道に行っていないだけで、一歩踏んでしまうと戻れなくなってしまう。家族のためにいろんな努力をする夫。そして清楚で魅力的な妻――アヤ。そんな二人の間に生まれた娘――スズちゃん。彼らは一体――どのような結末の道に行くのか……。二人の愛の行く末を見届けたいのならば、最後までも届けることをお勧めします。
一読者としても目を背けたくなる【妻の不倫】という事実。幼なじみの二人が愛を育み幸せな結婚だった筈なのに、妻が裏切り不倫するほど、どうして壊れてしまったのか?そこまで至る行動は明らかに夫も妻も異常です。まだその詳細は作中で明かされていません。今後、明かされるのかどうかも分かりませんが、読者としては、明かされた事実から、論理的に推定していく事も必要なのだと思います。それは全ての文学作品にも言えることなのでしょう。夫はスポーツマンタイプの所謂イケメンであり頭脳明晰仕事も出来る人、妻のアヤは清楚可憐、笑顔が切なく美しいとても魅力的な若い女性です。何故?そして、二人の愛の行く末は?さあ、読みましょう!
この物語は平穏な日常を覆す。仕事人間の男性なら誰でも起こりうる惨事です。それは不倫……。レビューをしたのは11話まで拝読させていただいた時です。それでも、引き込まれる文章。日常をテーマにしては衝撃的な書き出し。レビューせずにはいられませんでした。「お見事!」の一言に尽きます。物語の筆者、ブーバン氏の作品はどれも、読み応えはあると思います。まずはこの物語から入ってみては、如何でしょう。