評価:★★★★☆ 3.6
青く豊かな湖に浮かぶ島の小国・レガート皇国にて。
学生の身で、若くして“歌長(うたおさ)”の地位に任ぜられた十七歳のアルム・バード楽士伯は、課題の歌のパートナーを探していた。やがて、とびきり好みの歌声を持つ、妖精のような少女ユナと出会うが―――…
まっすぐに彼女を想うアルムと、そんな彼を誰よりも大切にしたい、けれども素直になれない“彼女”の物語。
※主人公アルムのイメージ画
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話数:全19話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
これは本編「楽士伯の姫君は、歌わずにいられない」のヒロインの両親の物語です。本編よりも大人びた恋愛描写が描かれています。ですがそれに感情移入する方も多いと思います。結末を知っているだけに切ない、けれどそれは嫌な感情ではない。情景描写が美しい。それが切なさに花を添えている。丁寧で表現力豊かな文章。歌を主とした表現だが、歌や音楽のことがわからなくてもそれに惹かれていく。円満のハッピーエンドではない。けれど全部都合よく解決させて、きれいにまとめてしまうより納得できてしまう。切なさとそれに続くもう少しの未来がどうか幸せに満ちていると願ってしまう。ラストを裏切られたと思わないのは、それに続く本編の主人公が愛をいっぱいに受けて育ったと知っているから。読まれないでいるのはもったいない。どうか本編を読んだ後こちらも読んでもらいたい。そしてたくさんの感情に満たされてほしい。
豊かな湖に浮かぶ島の小国・レガート皇国。 その地で、若くして“歌長”の地位に任ぜられた主人公は、課題の歌のパートナーを探していた。 そして、とびきり好みの歌声を持つ、妖精のような少女と出会い、次第に、互いに惹かれていくが……。『ただ、死ぬまでの間に誰にも迷惑かけず、生きてたいだけなのに』 彼女は、過酷な運命の因子を抱えていた。 しかし、時の歯車が止まることを知ってもなお、主人公は、優しく、それを包み込んでいく……。 最終話、この物語のヒロインは幸せだったのだろうか? 最後は救われたのだろうか……? そして、主人公は、すべてを受け入れることができるのだろうか? せつなさの残るラストシーン、涙が零れそうになるのは、わたしだけではないと思いたい……。