評価:★★★★☆ 4.3
「こんなものに意味なんてない」「何気に初だったんだけど。初がお前って」数年振りに再会した俺のいとこは、いじめられてるくせに妙な撃退法でいじめっこを退けてしまう。恋愛感情もくそもない俺たちがしたキスのせいで事態はどんどんこじれていくわけだけど、問題はそれだけではなかった。後ろの席の真面目系おさげ女子はトラウマ持ってるわ色恋沙汰に疎いわで、いつも屋上でのんびり絵描いてるあいつもあいつでおかしな人間関係形成しちゃってるし、ある友情が崩壊する一方でまた新たな友情が生まれたり、案の定いじめもエスカレートしたりなんかもして、人間関係って往々にしてそんなものなんだけど、なんだか俺自身も笑えない状況になってきた。高校生活の中で生まれるコンフリクト――葛藤、軋轢、衝突の数々。果たして俺たちは、この夏を無事に乗り切ることが出来るのだろうか。
話数:全65話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
この小説「コンフリクト」には、イジメを始めとした葛藤や衝突etcのテーマが全面に押し出されている。描写の生々しさには嫌悪感すら覚えるし、随所に入るユーモラスにも逆に不安になってしまうほど。私が考えるのはテーマの裏に隠されたもう一つのテーマ、「人の弱さ」ではないか。何度か読み返してみると如実に出ていると思うのが<chapter32 -呵責->の主人公と村瀬、<chapter39 -紙飛行機/雀の墓/偽善->の城川(一番好きなキャラですw)、<chapter33 -堰を切った真実->の鍋島、<chapter43 -ひぐらしと暮夜の中で->の依子などが挙げられる。人の弱さがコンフリクトを作る…作者の主張はそこにあるんじゃないかと私は考察してしまうのだ。良く出来たTVドラマを見たような読後感だった。一度賞味あれ。(短編でもいいので続編を、密かに希望)