評価:★★★★☆ 3.9
地球保護機構「ECO」のアカデミー生である和泉眞は、演習のため訪れた山で怪獣と遭遇する。窮地に陥ったその時、謎の少女・ナエの導きにより、和泉は銀色の巨人「キリエス」へと変身した!
災いの到来を告げるかのように次々と現れる怪獣、宇宙から襲い来る侵略者。彼らが引き起こす事件を追いかけるうち、和泉は己の過去と、そして課せられた使命と向き合ってゆく。
すべての「男の子」経験者に捧げるヒーロー小説!※本作は「カクヨム」様にも掲載されています。
話数:全68話
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
そこは怪獣、宇宙人、様々な異常現象が「日常」を脅かし、そして「日常」の一部に取り込まれようとしている世界。特殊部隊の新人隊員「和泉眞」は、現実とも夢ともつかない不思議な出会い、奇妙な記憶と巡り合い、人智を超えた力を手に入れた。地球に、人々に、仲間に危機が迫った時、彼はその姿を変える。怒りと優しさを秘めた、神の如き銀色の巨人、「キリエス」に!巨大怪獣、宇宙人、防衛組織に巨大ヒーロー。テレビや映画、漫画など映像ジャンルが軒を連ねるジャンルに、「文字」と言う形で挑む新進気鋭の特撮小説。溢れんばかりのリスペクトと、それを裏打ちする抜群の表現力が、読み手を常識と非常識が入り乱れた空間へと誘います。皆様も少しばかり、アンバランスな世界に足を踏み入れてみませんか?
ここしばらくの巨大ヒーローモノに「いくら何でもつじつまが合わない。もう少し科学的でシリアスでもいいんじゃないか?」と思った方は多いはず。 特撮は本来、子供向けの作品である。これは仕方が無い。 しかし『子供だまし』と『子供向け』は違うのではないだろうか。 十数年前。巨大ヒーローモノは、子供には難解な単語が飛び交う、しかし科学的でシリアスな作品だった。 あの時はまるで理解できなかったけれど、世界観の奥深さと物語の複雑さを感じさせ、作品の素晴らしさは、たしかに心に刻まれている。 そんなあなたに、是非読んで欲しい。 この作品は、そうした魂を真っ直ぐに受け継いだ『読む特撮番組』であるのだから。
この地球に忍び寄り、人々を脅かす侵略者。大地を踏みならし襲い来る怪獣。そして、世に蔓延る外敵に敢然と立ち向かう防衛組織と――正義の巨人。 どこか懐かしく、熱い物語。その旨味を小説という媒体で余すところなく引き出した、スガワラヒロ先生が送る傑作ヒーロー小説です。 古き良き時代を彷彿させる作風と、それを支える抜きん出た文章力と表現力。その全てが絶妙に互いを引き立て合い、切なくも熱い特撮ヒーローの物語を描き出しています。 ヒーローが好きでも、そうでなくても。全ての人に読んで頂きたい、新進気鋭の快作です。
幼い頃、僕らは「誰よりも強くありたかった」。正義の味方を気取り、テレビのヒーローを真似て遊ぶ。正しいんだから負けてはいけない。ブラウン管の向こうのウルトラマンのように、悪い怪獣を倒して颯爽と宙を飛び去っていく。その格好いい勇姿を、あどけない憧れと共に模倣したのは、自分一人ではないだろう。『キリエス』は、そんな懐かしい英雄の活躍を現代に蘇らせた秀作だ。主人公の和泉は不思議な少女ナエと出会い、雄々しい巨人へと変貌を遂げる。対する怪獣は、毎回趣向を凝らして彼らに襲いかかってくる。その迫力は、作者である須瓦さんの流麗極まる筆致で描かれており、読者は容易く情景を想い起こすことができるだろう。ちっぽけな人間では到底及ばない「強さ」の象徴。それはまさに幼少時の夢の具現化である。読者はそれを前にした時、老若男女を問わず、等しく本作の虜となるに違いない――深い畏敬を抱いて。必読である。
タイトルにもある通り、そんな人におすすめの一作。「『巨大ヒーローVS怪獣』だからウルトラマンだろう?」と言うそんな偏見はいけない。キリエスと言う神話性の強い存在。巨人の力を得た主人公の謎めいた人間性。怪獣と言う「災害」。そしてそんな力に抗う、もしくは上手く付き合う人間たち。今まで特撮が作り上げてきたものをリスペクトしつつも、須瓦さん自身の中にある価値観世界観がこの作品の中に描かれているものだなと感想を抱きました。私自身も、(特に平成の)特撮が好きなので毎話楽しみに読ませてもらっています。
怪獣、銀の巨人、宇宙よりの侵略者! 巨人の力を手に入れた主人公を中心に描かれる人間と怪獣の戦いは思わず手に汗握ること間違いなしです。 特に素晴らしいポイントは昭和や平成など様々なウルトラマンの要素を絶妙に織り交ぜつつ、それらが互いに反発しないように渾然一体とさせてオリジナルの世界を展開させている点です。 あ、この雰囲気見たこと有る! とは思うのですが、それだけではなくキリエスという光の巨人の息づく独自の神話的世界がきっちりと生きているのは間違いありません。ウルトラオマージュでありつつも、それで終わらないSFファンタジーが展開されています。 これを可能としているのは須瓦様の文章力のなせる業でしょう。この絶妙な調和を綺麗に伝えるには、この読みやすく綺麗な文章があってのものです。これだけ読みやすいならウルトラマンを知らない方でも楽しめると思いますよ!