評価:★★★★☆ 4.2
全ての生命が鉱石・貴石でできている大陸ペクシオロス。五大国の一つ群島国ダーズエに特殊な職に就くものたちがいた。
遺志残し、それは死にゆくものの念を読み取る存在のこと。
群島国ダーズエで遺志残しに就く少女・グリュテは遺志残しの任務についていた中、奇妙にも死に焦がれている自分に気付く。
遺志残しが稀にかかる『告死病』と宣告されたグリュテは、死に損ないの騎士・セルフィオと共に最後の任務の旅へと旅立つのだが……。
第七回ネット小説大賞一次突破作品。2019/06/03完結しました!
※世界観は同名義での連載小説『玻璃の娘 黒の王』と同じものです。
時系列は過去にあたりますが、これのみでも読めるようになっております。
カクヨムでも同名義・同タイトルで連載中。
時代:未登録
舞台:未登録
∀・)こんばんわ。死生観を深く掘り下げるとエ〇スとタナトスらしいです。え?〇を外せ?いやだよ。恥ずかしいじゃないか。30過ぎてもピュアな男、イデッチです(ホントか)。∀・)こちら汐穹臣さまが手掛けられたファンタジー作品になります。レビュー冒頭に書きました死生観をどっぷりテーマにされている作品であります。まず主人公のグリュテ、このコがそこと向き合うなかでセルフィオという騎士と出会い、物語が紡がれてゆきます。深く濃い背景がそこにあるのですが、彼女がどこへ向かうのか、ワクワクしながら更新を楽しみにしておりました。∀・)ボクは思います。これからこの作品を読む人、きっと気になって気になってあっという間に読み終わると思います。それほどに実は楽しめる作品でした。ボクが本当にピュアな30代男かどうかは置いといて、純粋にグリュテちゃんがゆく物語を体感して欲しい。読みましょう!損しません!
序盤は世界観の説明が多く、勢いで読んでいくというよりも、しっかりと作者様の世界を読み解いて行きたいというような読者様におすすめします。生と死というテーマに対して、主人公の捉え方、周囲の捉え方、どちらも作者様の訴えたいことなのでしょう。軽くはないです。一章はいわゆるプロローグに感じます。自分としては物語が動き出すのは二章からかなと。もし読まれるならば二章の中盤くらいまでは是非目を通して下さい。段々と死を求める『告死病』に侵されていく主人公。自分は主人公を異常だと思います。ただ読んで、そう感じない人も多くいるでしょう。これは作者様が生と死と言うテーマを上手に纏め上げられているからだろうと感服致しました。もしこのレビューを見て読んで頂けるならば、是非とも頭を空っぽにせずに考えながら、何度も戻って読み直して下さい。良作です。
ある日、不治の病である「告死病」を言い渡された女主人公。いつか死ぬ運命を背負った少女は、「死に損ないの騎士」のアダ名を背負った悲しき騎士と共にとある任務に向け、旅立っていく。これは、期限付きの悲しき恋愛物語──。こう聞いて「悲劇なんかみたくない」という人もいるかもしれない。確かにハッピーエンドで得られる幸福的快感は、我々の感情を揺さぶり麻薬の様に掴んではなさない。しかし、悲劇だからこそ感じられないカタルシスもある。死ぬまでというタイムリミットがあるからこそ、それまでの時間を尊く、貴重だと感じさせられ、最後に死という残酷な現実に打ちひしがれ、本気で涙が流れる。心の底からの感情の揺れを感じられるのだ。ただ、この物語が悲劇と決まった訳ではない為、どんな形のカタルシスが得られるか分からない事は注意だ。いや、だからこそ、読んで確かめて欲しい。2人のこれからの行方を。