評価:★★★★☆ 3.5
この世の中には場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)という珍しい疾患があります。
平たく言うと、普段は喋れるけど、大勢の前とか、親しくない人の前では急に喋れなくなる病気です。
発病率は1000人に数人と言われています。この小説の主人公は、クラスで孤立する場面緘黙症の女子高生。
そんな彼女が同じクラスの女の子の手助けで、クラスの中に居場所を作り、社会に出て行けるようになるまでを描いています。
すこし百合っぽくなるかもしれません。
話数:全16話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:GL
『人は人によってのみ人になる』って言ったのは哲学者のカントという人でして。人は周りの人のお世話になってようやく一人前にさせてもらうってこと。自分一人の力じゃ一人前にはなれないってことを言いたかったんですね。思い浮かべられるでしょうか。お世話になった人のこと。『この人がいなかったら今の自分はない』という大事な人のこと。両親、恋人、兄弟姉妹、親友、先生、憧れのスター、エトセトラ。もしもそんな大事な人にありがとうって直接言えたら、それは最高。もしも自分が他人にとっての大事な人になれたなら、こんないい事ってない。自分はちゃんと言えるだろうか。そうなれるだろうか。実際むずかしいんですけどね。これはそんな、切なくて優しい、すこし百合っぽいお話です。