評価:★★★★☆ 3.9
その日、母親が死んだ。ひきこもりの息子を抱え、ままならぬ人生を苦しみ抜いた末に、母親は急な発作で倒れ、そのまま息を引き取った。
唯一の肉親を亡くしたひきこもり・亥ノ上直毅(いのうえなおき)は、自分の人生がついに「詰んだ」ことを確信する。親が死んだ時がひきこもりの死ぬ時だ。直毅は飲まず食わずでゲームを続け、自分の命運が尽き果てるのを待つことにした。
ところが、命運が先に尽き果てたのは地球の文明の方だった。突如地球の近くに現れた彗星群が、次々と地球への墜落を始めたのだ。それはまさに絨毯爆撃と呼ぶにふさわしく、地球のライフラインは着実に寸断されていく。その混乱にさらなる拍車をかけたのは、隕石の墜落地点から出没しだした異形の化け物たち――モンスターの存在だ。
死にそびれた直毅は、紆余曲折を経て、混迷を深めていく世界に希望を見出す。手に入れた力を生かしてモンスターを狩り、今度こそ誰からも虐げられることのない絶対の力を手に入れてやる――
これは、絶望の中に希望を見出した、一人のひきこもりの物語である。※アルファポリス、カクヨムでも掲載しています。
話数:全43話
ジャンル:現実世界恋愛
かなり面白いと思います。よくあるステータスとか魔法とか、そういった使い古された設定を外側に巻きつけて見せてますが、その細部はとても新しいものがひしめいてます。性格特性という設定が人間の内面を描くのにとても良いツールになっていた。見事に脱帽しました。また、唐突な隕石でそういう状態になるのが良い。唐突過ぎて説得力が無くなる設定になってしまうと思ったが、作者の描写の巧みさから非常に緊張感のある導入だった。また、作者が選ぶ言葉の品がいい。センスがあると言い換えてもいいでしょうか。作者の巧みさにも惹かれる作品です。このレビューをご覧になった方はまず5話程読んでほしい。最初は少々重苦しい導入だが、5話を過ぎれば最新話までノンストップ間違いないでしょう。