サムライ・エイジア

文中に出てくる日本文化の単語、そして独特のルビ。一見すれば「外国人が間違って認識した日本文化」のように思えるかもしれない。だが、この作品はクールジャパンとは似て非なるものである。最初は、クセの強い表現に辟易するかもしれない。だが、読めば読むほど深みにはまる事だろう。王道の展開でありながら、その表現次第でいくらでも新しく思える良い例である。斬新な狂言回しで展開される超合金(スーパーロボット)の物語、ぜひ一読を。

独特の世界観、華麗なロボット描写、そして浪漫溢れる展開が魅力の小説です。緊迫感溢れる戦闘シーンだけでなく、緻密な人間関係も展開されており、作者の風呂敷の広さには驚かされます。難しい漢字にはるびを振るなど、読者視点での読みやすさにも気が配られていて○。単に形だけのSFではなく、史実を下敷きにした奥の深いいまどき珍しい作品だと思います。総じて非常にレベルの高い作品で、今後も目が話せない、読んで損はありません。長期連載作品なので長さに引いてしまう方もいると思いますが、最新話だけ読んでも楽しめます。週刊連載漫画のような小説、というか小説や漫画という概念を越えた、文字だけで楽しい全く新しい感覚です。さあ今すぐサムライ・エイジアの世界へ！！

ロボット好きなら、本作を読まないのは実にもったいない。イクサ・フレームと呼称される機体が、搭乗者たるサムライを迎えて、戦い切り結ぶ爽快感は見事。もちろん、何事も上手く行くわけでは無い。極限まで戦う内に破損する機体もまた見事。そして尚、戦い続ける覚悟は美しい。さらにさらに登場人物達の個性溢れる、佇まいも魅力的だ。主人公たる、サスガ・ナガレを中心に描かれる各キャラクターそれぞれの真ん中に心棒が通っている様には、絢爛さすら感じてしまうだろう。また彼らが戦場とする惑星ヤマトという世界の構築も興味深い。歴史、文化、風俗に至るまで描写され、その奥深さを感じ、そこに耽溺することも可能だろう。話は今（64話時点）様々なシーンで紡がれた登場人物達が、闇を抱えた危険地帯に集う緊迫の状況にさしかかっている。是非この興奮を堪能して貰いたい。