あの朝、空が赤かった。 完結日:2019年9月13日 作者:つこさん。 評価:★★★★☆ 4.3「夢、叶えたんだね」 何と返していいかわからなくて、わたしは「ありがとうございます」と呟く。 真っ直ぐにここまで来れたわけじゃない。 早く帰って欲しいような、引き留めて弁解したいような、どうとでも取れる気持ちが動いて、わたしは手を伸ばした。 第五回月餅企画参加作品です。 話数:全2話 ジャンル:現実世界恋愛 登場人物 主人公属性 女主人公 職業・種族 未登録 時代:現代 舞台:未登録 雰囲気:シリアス 展開:未登録 その他要素 ススキノ 日常 注意:R15 なろうで小説を読む
優しくてほろ苦くて、じわっとあたたまるよ。さあ、北の街で一緒にビールを飲もう。--ちょっといい歳になったお姉さん。ずいぶんいい歳になった少し年上の俺たち。やたらと夏が短くて、秋と冬の長い北の街。ずっとずっと前。ダメダメな俺たちのあの頃。でも、あの日の朝、君は俺たちに教えてくれた。憧れる、ということ。夢を見る、ということ……君は、きらきらしてた。たくさん回り道をして、ほんのちょっとだけ、また交わった人生の糸。「悪くなかったね」……そう言えることが、こんなに愛しい。--今なら、きっとビールの味もあの頃よりわかる。
思い出はどこまでも優しい。じっと見つめていられる。――だが……。思い出の中にいるあの人は、まぶしい。美化しているかもしれない。勘違いの可能性だってある。しかし、確かに覚えている。『あの朝、空が赤かった』夢を教えてくれたあの人は今、目の前にいる。その夢を叶えて。声をかける。声をかける、それだけだ。今もまぶしい――、あの人に。
北の大地の物語。実際にある場所の架空のお店。だけどここには、息つく人々の心の音が聞こえる。とってもあったかい。そして、すぐそこにありそうな。大人のほのかな恋の物語。さ。横のテーブルに座って、ほっこりしましょ。◇大人になること恐るること多き世に遠からず通るこの道にぞあるなれど並ぶ者ここにありけむ過去の想いと立ちて去ぬるは昔を知ると男ひとり千名懐かしむその顔知らぬものにて残るはここの北の祭りと紙片となる余人より贈り物は如何なるものとや来たる日昔日の己を慈しみたるやと夢叶えしと古の己を寿ぎするるやも目立たぬ小さき城の主は安らぎ覚え乗せる笑顔は福を招き広がりせつつ形のみあれど夢を見ゆればとしのぶ尊ぶものとは何ぞと問わるるなれば地に降り立つ日々の営いもひとつと西に沈む日の後には東に昇る日あり衒いない今生もまた良きものかなと