評価:★★★★☆ 4.4
【6/25 4巻&コミック2巻発売】
「この世の地獄」と称されるヴァルツァー監獄。
服役中の娼婦から生まれ、囚人仲間によって獄内で育てられた少女・エルマは、大国ルーデン王の崩御を機に、恩赦として監獄から「釈放」させられる。
釈放の発令者である第二王子ルーカスの命で、王宮付き侍女となったエルマ。母の言いつけ通り「普通」の少女を目指して過ごしはじめるが、うっかりぶっ飛んだことばかりやらかしてしまう。
それというのも、娼婦譲りの美貌に詐欺師譲りの読心術、狂戦士の戦闘術に、マッドサイエンティストの医術――「家族」である囚人仲間に、かなり独特な「普通」を教え込まれていたからだった。
彼女の常識外れの能力や行動は、やがて王宮全体を揺るがしていき――?
「もしや……シャバの方というのは、そのくらいのこともできないのですか?(真顔)」
”普通”を目指すわけあり少女の、うっかりシャバ無双物語。
※完結しました。最後までお付き合いくださった皆さま、本当にありがとうございました!
話数:全169話
ジャンル:異世界ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
面白かった。ただそれに尽きる。……では文字数が足りないので補足をば。チート持ちの最強主人公モノって物語のバランスを取るのがとてつもなく難しいジャンルだと思います。主人公が無双過ぎてハラハラドキドキ感が全然無かったり、主人公の強さと敵のバランスを取るためにパワーインフレしていったり。そんな難しいジャンルを物凄いバランス感覚で一切の中だるみ無しでただただ面白さを維持したまま完結させたのがこの物語です。主人公はありとあらゆる能力が天元突破した上に絶世の美少女で魔王で聖女という本来なら物語のバランスブレイカー間違いなしのチートヒロイン。ただ、物語の主軸はその非常識ヒロインがあくまで『普通』になろうと頑張る中で知り合い、関わっていく人達との人間模様。各章のクライマックスでチート全開で無双する展開はさながら水戸黄門の印籠シーンのような所謂お約束展開で癖になります。
監獄と言う特殊な環境で非常に高度な教育を受けた少女が、母親の教育方針から シャバの「普通」について知るために、王宮のメイドとして働くことになります。ことある毎に「常識」の違いが浮き彫りになり、戸惑う少女(とその周囲)ですが、監獄では経験なし得なかった様々なエピソードを通して、「普通」について学んでいきます。現実世界でも、生まれ持った能力や、育った環境の違い等から、「常識」が異なることは多いと思います。もちろん、多様な価値観と言う刺激も良いものだと思いますが、理解はできても府に落ちないことがあったり、戸惑うことも多いのが実情ではないでしょうか。一方で「普通」のこと、例えば家族を大切にすること、友を慮ること、気になる異性にトゥンクすること。これらは、ほぼ万人が共感、理解できて、心まで暖かくなる素晴らしいものだな、「普通」っていいものだな、と考えさせられたお話でした。
『シャバの方というのは、そのくらいのこともできないのですか?』見下しているわけではない。ご褒美を与えているわけでもない。本当に分からなくて、少女は聞いている。これは、エルマという少女が、「普通」の少女を目指す物語。少女は監獄で生まれ育った。囚人たちが家族であり先生だった。そんな少女が、恩赦によってシャバに放たれ……王宮付きの侍女となる。少女は監獄で学んだ技能を、侍女の仕事に活した。その仕事っぷりに、周囲は唖然とし、瞠目し、歓喜する。少女が「普通」だと思う技能は、囚人たちが監獄にぶち込まれた原因の一端。いわば異能だ。そのぶっ飛んだ有能さは注目されるが、「普通」とは評価されない。切ないシャバとのディスタンス……「普通」を知りたい少女の物語。この少女の前では、特別だったものが当たり前に、ありふれていたものが新鮮に見えてくる。ぜひ、ご一読ください。
“誰でも掛ければ、絶世の美貌があら残念になるびんぞこ眼鏡を装着した傾国級の美少女! 彼女に欠けてるのはシャバの普通・・・常識だった!あちらこちらで巻き起こる事件、悲鳴、歓声に彼女が居なかったためしはない!彼女にさえかかわらなければ、国一番の色男と評判高かった騎士王子、美少女だけど腐女子の城勤めのメイドである男爵令嬢によるボケ突っ込み!いろいろな普通の常識を、監獄仕込みの普通でぶっ飛ばしていく、爽快な物語である。だが、知らぬは本人ばかりなり。 これでも真面目に “”普通”” しているつもりです。”
普通じゃない!丁寧な言葉選び、目の前に情景が浮かぶような躍動感ある言い回し、そして静と動の緩急、物語のまとまり、普通ではないほど高い文章力を、普通ではないということを伝えるために全力で注いでいる作品。一度読み始めるとぐいぐいと引き寄せられ、まとまりよく一息ついても「もう一区切り読もうかな?」「もっと読みたい」と中毒性がある。初めてこの作者様の作品を読みましたがまさに尋常ならざるものでした。おすすめです。一章は長くはないので、ぜひ一度御賞味あれ!
頭を鈍物で殴られたのはこの作品が初めてである。読み進めていくと目の前でヒヨコが踊り始めた。更に読み進めると頭のなかで何故か鐘が鳴り響き始めた。────その位の衝撃を受けたという事が伝われば良い。この作品は主人公「エルマ」が「普通」を求めて色々無双する物語。作中のエルマの「シャバの人はそのくらいのことも出来ないのですか?」の一言にはきっと全員涙目。そして心の中で彼女に突っ込むのです。「そんなの普通じゃない!!!」と。読み終える頃には訳分からないテンションになる事でしょう。時間が無い? そんなの言い訳になりません。読んでください。話はそれからです。Ps.本篇のみならず感想欄もオススメですが、作者様の活動報告の欄も見て下さい。それだけでも半日潰れます。
これは「普通」になりたいだけの「普通」の少女のお話です。意味が分からない? 意味が知りたければ読みましょう。読んで損はさせません!それはエルマエル様に誓います!……そこは神じゃないのか、ですって?安心してください。女神ですから。特に酔った時の彼女なんて……げふんげふん。まあ、エルマエル様、マジ女神。つまるところ、EMM、ということです。……はい、普通にレビューします。読者に愛されすぎたが故に、第二部、第三部が生まれてしまった……否、生まれる運命だったこの作品。登場人物は個性溢れる……溢れすぎて忘れられなくなるキャラ達が多数登場!そんな濃すぎるキャラ達に笑わされながらも、気づけば驚かされ、感動を見せつけられる時も!?そんな笑いあり、涙あり(?)のこの作品。読まなければ普通に損しますよ。普通に。(直訳:一話だけでも読んでみなさい! 話はそれからだ!)
「普通」だと思っていた「普通」ではない教育を施されたハイスペック美少女。そんな少女の織り成す無双劇。「普通」を求めた「普通」ではない少女の「普通」な物語。「普通」のゲシュタルト崩壊があなたを襲う。「もしや……シャバの方というのは、そのくらいのこともできないのですか?(真顔)」濃ゆい感想欄も必見!!!
この作者様の他作品では主人公の個性(没個性含めて)がしっかりと描かれているのにこの作品だけは主人公の能力が前面に押し出されその思いや目的は行動の陰に隠されています。相手の行動で為人を判断し慣れた男性読者はすんなりと物語を楽しめるでしょうが相手の思いに寄り添い共感するタイプの女性読者には取っつきにくいかもしれません。でも人の個性というものはその能力が占める割合がけっこう高いもの。 そして未だ個性の萌芽がみえないこの作品の主人公は真っさらな白紙の塗り絵のように私達読者に託されているのかもしれません。その行動を通じて個性を推し量る楽しみを味わいませんか?女性読者にもオススメです。
第2部がスタート&書籍化というお知らせに対する喜びを込めて、第1部についてレビューにて語ります。第1部 シャバの「普通」は難しい「普通」を知るためにシャバの世界へやってきた少女エルマの無双劇。彼女に振り回されるシャバの人々も、彼女を愛する”家族”たちもすべてが個性的で、魅力的です。この作者様の作品はいつもキャラが愛らしく、生み出される掛け合いの破壊力がいい意味で凄まじく、そして素敵な何かに気づかされるものばかりです。そして、この作品ももれなくそうです。決して長くはない、しかし十二分に心に残る。第1部を読んだ方なら第2部タイトルを見ただけで期待と喜びと喜びで胸が震えることでしょう!私は震えた!ぜひ読んでください。第2部を、エルマの華麗なる無双劇(確信)を追いたくなるはずです。