評価:★★★★☆ 4.3
これは、結城藍人がテンプレ小説を書こうとして、上手く書けずに七転八倒する有様を赤裸々に描いた創作論エッセイです。全然創作論になってないのはご愛敬(爆)。
そんだけ苦労して書き上げた新作テンプレ小説が受けたかどうかの記録もリアルタイムで掲載!なお、本作のタイトルは「カクヨム」にて掲載の@yu_3122様作『だから私は現代ドラマが書けない』
のタイトルをパクった……もとい、インスパイアさせていただきました。作者様の許諾済みです。※「カクヨム」にも重複投稿しています。
話数:全14話
ジャンル:その他
時代:現代
舞台:未登録
注意:全年齢対象
エンターテイメント、つまりはより多くの人が楽しめる作品……それらの大体の平均値、あるいは作品としての方向性をテンプレと仮定したとしましょう。このエッセイはそのテンプレに真摯に向き合い続けたなろう作家、結城藍人さまが挑まれた苦闘の記録です。趣味で書いてるから、人気なんて興味ない……それを悪いとは言いません。事実、私もその手合いです。でも、このエッセイを読ませていただいた時感じました。こんなにも真摯に自己に対する上昇意欲をもって、様々な角度から小説作品を研究し、自身の糧にしようとする……それを自分が真似できるだろうか?そうして私は筆者である結城さまに脱帽しました。その小説というものに対するスタンス、真摯さに、たゆまぬ上昇意欲に……もしも、小説を書くことが嫌になっている人がおられるのなら是非ともこのエッセイを読んでほしいです。きっと「自分も負けていられない」そう思える筈ですから
普遍的な読者のニーズに最も近しい要素を指す、エンタメ小説の基盤――テンプレ。それは一見、真似ようと思えば誰にでも真似出来る、かのように見えてしまうものだ。だからこそ、「テンプレ」として定着しているのだから。 しかし。誰にでも出来ると思っている人は、気づいていないのだ。1番難しいのは、難しいことを簡単なことのように魅せることなのだということを。 本作は「テンプレ」を徹底的に研究した上で、その魅力を引き出さんと尽力されている、結城藍人先生の分析と足跡を描いたエッセイとなっております。なろうやカクヨムにおける評価の推移まで詳細にデータ化されており、何がウケて何がウケないか……という点に至るまで、綿密に研究されておられます。 卒業論文も裸足で逃げ出す結城先生のガチ解説。ぜひ、ご一読ください!
読まれないエンタメ小説なんてエンタメじゃない。拘りの強さ、あるいは矜持? とにかくテンプレを外し、自分にとっては大切でも読者にはいらない無駄な挿入をしまくる。リーダビリティより、表現者()としての自分の納得を優先し、読者よりも自分を最大限に楽しませる内容にする。挙句に「プ、プロじゃなく、趣味で描いているんだからっ!?」と自分に甘い言訳。そして冒頭の「読まれないエンタメ小説なんて〜」、に、戻る。どんなに言い訳をしても「人を楽しませる」ということにおいてわたしは敗北者なのだ。負け試合をしたくないからあえてテンプレのど真ん中を書かない。だって、同じ型(テンプレ)を使えば、よけいに書き手としての差が現れてしまう。だけどこの筆者様は、誰よりも拘りが強い人なのに、それをかなぐり捨てて挑んだのだ。同士達よ、その勇姿をしっかり見届けて心に刻みつけよ。きっと彼は伝説になる!