評価:★★★★☆ 4
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
話数:全260話
ジャンル:エピック・ファンタジー ヒューマンドラマ
時代:未登録
舞台:未登録
人の命とはなんだろう。 私がこの小説を読み始めて早々、思ったことだ。 人間の死の克服により、逆に人口爆発により滅ぼうとしているため、生存競争が勃発。結果、魔王となり、転生した主人公が放り出されたその世界は戦争真っ只中だった。そして、主人公はそこで平和を追及する。 上にもあるよう、私が最初に思ったようにダークファンタジー小説はやはり重い印象を受ける。 勿論それだけではすぐに飽きてしまう。しかし、この小説は違う 延々とストーリーが進むのではなく、程よく途中で軽いギャグを入れる等工夫がなされていて、スラスラと読めてしまう。 そして丁寧な設定の上にあるストーリーは、次が気になる! と思えるもの。 飽きない展開と、丁寧な文体のこの作品はまさに傑作。 是非一度読んでみて欲しい。
世界を創造してみよう。小説を書いているものなら分かるが、どんな世界にも穴があるもの。だが、この小説は違う。群を抜く緻密な設定が貴方を出迎えます。用語、何代目の王なのか、キャラの身長に至るまで。ここまでの熱量で設定している小説を私は知らない。また、舌を巻くのは文章の描写力。一つ一つの言葉がセンスの塊です。60万字に及ぶ文量を考えると、いわば人たる身で世界を創造したと言えるのでは?気付いた時にはこの世界に囚われていることでしょう!
物語を「想像」する時、あなたは何を創るだろうか?人、武器、敵、世界、概念……一つ一つを描き、創る。それを描き終えた時、その世界の全てを投射出来たと自負出来るだろうか?この作品には、それを成すに足る『創世力』がある!!綿密に描かれた世界観が読者を圧倒します。寿命の無い世界、そこから生まれる文化や風習。「領域」と呼ばれる地理、そこから生まれる非条理的な風景。現実ではないからこそ生まれる、魔人という異生物。人と魔人という相対関係から生まれた数々の武具。そこに既視感は置いていません。説得力に溢れた物語は全てが新しく感じます。柔軟な発想から生まれた世界……それは儚くも残酷で……それでいて美しい。本当の意味での新世界……是非ともあなたの心に留めて欲しい一作です。
≪「ここでは時間はいくらでもある、君が死のうと思わない限りね」≫聞き慣れない言葉に着たこともない衣服、気づけばそこは檻の中。考えうる最悪の状況で召喚された主人公。戦闘の、戦争の真っただ中、既に世界の物語が佳境を迎えようとしているステージの上から彼の物語は始まる。一文毎にセンスの光る言葉選び、加えて軽妙さ。『次へ>>』を無意識のうちにクリックしている自分に気づいたときには、もうこの世界の虜。膝のあたりまで底なし沼にハマった状態。足掻けば足掻く程にズルズルと引き込まれ、ストーリーが盛り上がっていく(ので続きを早くください)。「食べた人間を燃料にして炎を吹き、その際に吐き出す蒸気は熱や悪臭と共に周囲を白く染めていく」正直たまらんですよ。こんな描写が随所にあるんですから。しかも描写だけじゃなく背景がしっかりしているので倍々でたまらんのです。ネクストブレイクの予感がする作品です!
不老の世界。そこは人口が増加し、土地や食糧の不足が常につきまとう世界。そんな場所にいきなり魔王として召還された主人公は、二つの能力を駆使して侵攻する人類と戦うことに!与えられたのは『あらゆる文字を読み解く能力』と『死を予感する能力』のみ!果たして彼は窮地から平穏へと脱することができるのか!?初めは人類側の視点で、個性的な世界観と、情け容赦ない地獄絵図を見せてくれます。そこで結構重たい話なのかと思いきや、疲れたところでコメディチックな描写も入れてくれる親切構成。人類側と魔族側、それぞれの視点で物語が進んでいくのが面白いですね!ファンタジーが好きなら是非読んでみてください!
この設定で面白くならないはずがないその感覚は、この小説家になろうで読み書きをしている人たちにとって非常にワクワクする感覚ではないでしょうかまさにこの作品、どう転んでも面白いその先の流れを考えるだけでいくつもの道筋が頭に浮かぶように、こちらの意識を刺激される作品そしてこの作品は、その期待値の高すぎるあらすじな対して、しっかりとした土台をもって応えてくれています非常に作り込まれた世界観は、1話ごとにこちらの意識を物語の中へ引きずり込んでいってくれます3人称視点で進む文体も安定感があり、安心してこの先に期待できるそんなワクワク感を是非、味わってみてください
★本作の物語の入り口を見て異世界転生物を予想するだろう。だが違う。徹頭徹尾、異世界でのやり取りが主体となる。それも悲惨なまでに★異世界転生としての要素を満たしつつも、それを超えるもっと大きなコンセプトがこの作品には存在する。血で血を洗う凄惨なる潰し合い、どちらかが絶えねば終わらぬ苛烈な生存競争。すなわち〝戦争〟である★人間が死を克服できたことで、皮肉にも人口爆発がおき生存領域が不足した。それを敵対する魔族の国土に活路を求めた。その後はいつ終わると分からぬ戦争が続くのみだ。そこには救いはない。戦線で消費される下層市民と生存域を奪われる魔族があるだけだ。戦争による死から逃れようと策謀も虚偽も起きる。死の超越と言う永遠の夢は人間が消耗品と果てる世界に成り果てたのである★これはその不毛な世界を変えようとする二人の若者の物語だ。魔王と軍人、二人の歩みが世界をどう変えるかが見ものな期待作である!