これは地球の西暦で23世紀の近未来。事実上の火星本土への入植を断念して、|軌道要塞《オービットフォートレス》という宇宙都市を築き、火星の衛星軌道上に人類の生存可能領域を確保したかつての火星入植者の|末裔《まつえい》たちの物語です。
前作『士の星』において自分の艦とクルーを”見えざる敵”の襲撃から守り抜き生還を果たした主人公の女性士官ルナン・クレールは、一度はその功績により大尉に叙されますが、その後の自分の企画した作戦計画に関して、上層部から怒りを買い査問を受けた上で降格されてしまいます。
|無聊《ぶりょう》をかこつルナンの基に、情報部外事局に籍を置く、ヨハン・デーニッツ大佐から、現在自国と敵対状態にあるドイツ皇帝派領内に虜囚となっている重要人物にして次期自由フランス共和国大統領候補であるミハエル・デュシャン氏の奪還作戦への助力を要請されますが、それを一蹴するルナン。だが、その数日後に彼女の自宅には前作戦で掛かった費用の請求書の山が届けられ、とんでもない負債を抱え込んでしまったルナンは泣く泣くデーニッツのオファーを受けることに……。
その内容は敵対勢力の軌道要塞『プロイセン』城内に要人奪還作戦の実行チームのアジトとして、また奪還したデュシャン氏の隠れ蓑としての”カフェ”を出店、経営してそのオーナー役になれというものであった。
ルナンは自分の親友にして剣豪のアメリア・スナール、同居人で戦士志願で十六歳の少女キサラギ・スズヤらと共に、勇躍『プロイセン』に乗り込みます。
そして、それと同時期に勢力の弱体著しいドイツ皇帝派へのテコ入れとして『プロイセン』城に火星世界において最大の軍事勢力を誇る『アトランティア・ネイションズ』からの派遣艦隊第五〇二独立機動艦隊、通称ヴァルデスフリートが進駐を開始。
ルナンはここで彼女の終生のライバル、第五〇二の艦隊司令褐色の麗人である女将軍ゲルダ・ウル・ヴァルデスと合間見えることとなるのです。
果たして、後に火星のジャンヌ・ダルクと呼ばれる一代の女傑ルナン・クレールと仲間達は次期大統領候補の身柄と共に無事、敵地軌道要塞『プロイセン』城からの脱出を図れるのか?
『士(もののふ)の星』シリーズの第二弾、『軍神(マルス)の星』スタートです!
―この紅き星を|統《す》べるは、我かそれとも|汝《うぬ》か!―
軍神(マルス)の星
完結日:2019年10月6日
作者:梶 一誠
評価:★★★☆☆ 3
話数:全37話
ジャンル:スペースオペラ
時代:近未来
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録