評価:★★★★☆ 4
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人と人でない者、善人と悪人、大人と子供。様々な人たちが喜び、怒り、悲しみを抱えながらも受け止める。
――これは、そんな様々な生を描いた、時に苛烈で時に優しい人間賛歌。
文明を滅ぼす「大災害」から復興した世の中。魔法という名の技術と残された先史文明の知識によって、過去とは異なる文明を築きつつある世界。失われて久しい先史文明の遺失技術の知識、そのアクセス端末が小さなきっかけで修復される。復興時に活躍し、今は機能を停止した「聖典」と呼ばれるその端末。シングルショット(単発)の魔法銃が普及し、複葉機が飛び交う世界で、国宝となったアクセス端末を巡り、それぞれの思惑をのせた戦いが繰り広げられる。※拙作「バード王子の独立記」の世界から約150年後の世界です。同時に、独立した作品ですので、「バード王子の独立記」を読んでいなくても大丈夫です。
※全6章+α、50万字強(単行本4~5冊分)の物語です。
※ページ下部に、設定資料集へのリンクがあります。
話数:全96話
ジャンル:異世界ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
まず先に断っておくと、私はファンタジーが苦手だ。その中でも特にハイファンは苦手だ。その理由として、設定が洪水のように押し寄せてくるからだ。……つまり、覚えられないのである。なのに、この作品はするすると頭の中に入ってきた。その理由はキャラクターだ。重厚なのに軽妙で、渋ささえ感じさせるキャラクターたちのおかげで、おそらく難しい部類に入るであろう設定が全く苦にならないのだ。そしてキャラクタの魅力が、そのまま、感情移入出来る要素となっているからだ。そしてどうしてそこまで魅力があるのか。それは、彼らの行動に嘘がないこと。おそらく、作者様が本当に感じ、感動したことをキャラクタにさせているであろうこと。だから見るものを説得する力があるのだと私は思う。惜しむらくは、視点が統一されていないことである。が、その欠点をおぎなってあまりある魅力のある物語を是非ご一読いただきたいと願うものである。