この世界に連続性なんてなかったらよかったのに 完結日:2019年10月1日 作者:水戸 連 評価:★★★★☆ 4毎朝記憶を失い登校する少年と、それを羨む少女の恋愛物語。 私は甘口のカレーライスが好きなのだけど、一日たてば彼はそれを忘れてしまう。 それがどうしようもなくうらやましかった。 だってそれは、毎日新しく好きなものに出会えるということなんだから。 話数:全11話 ジャンル:現実世界恋愛 青春 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:現代 舞台:学園 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 日常 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
今日はいつしか昨日になって、明日はじきに今日になる。過去に起きたことは必ず未来に繋がっていて、だから先行きの暗さも見通せてしまう。時間に連続性があるというのは、当たり前の大前提。 だけど、彼はそうじゃなかった。1日以上記憶を保つことができず、過去もなければ明日もない。そんな彼のことが羨ましいような、愛おしいような。 二人の間の埋まらない距離に悩む少女の姿が、等身大で描かれる。時間軸から切り離された今という、儚くて鮮烈な一瞬を、彼らはどう生きるのか。 時間の連続性の意義をどこに見いだすのか。 そんな問いへの答えが、穏やかでありふれた日常の中にはっきりと書き込まれる。一人称で綴られる繊細な言葉の端々から、一つ一つの気持ちが想像できて、胸を痛めながらも引き込まれてしまう。 ラストまで読み切ったら、「時間」というものの考え方が少し変わる、かもしれない。