「魔王を倒して、この世界を救う……ただそれだけの簡単なお仕事です♪」
「はっ? なんだそれ?」俺は見知らぬ世界で目覚めると、何故か目の前に居たメイド服を着た美少女からそんなことを言われてしまった。訳も分からずに勇者の仲間になると、暴れ馬やその他の仲間を引き入れながら若干おざなりになりつつある旅を続け、そしてついに俺達は魔王を討伐することに成功した。
けれどもそんな単純なお話が現代社会と読者達に通じるはずもなく、再びこの世界で最初に目覚めたその瞬間へと時間が戻されてしまうのだった……。―異世界暦1999年
この世界では魔物《モンスター》という人間に仇名す生き物が確かに存在していた。
それと同時にそれらを束ねる魔王もまた確かに存在していた。無力な人間達はその魔王の力の前に屈してしまい、ついには人間と魔物という種族の壁を取っ払い同じ世界で共存共栄していく道を模索することになる。
初めこそ互いに殺し合う存在で憎しみこそあったのだが、『女神様』という世界の創造主の説得により、次第に恨み辛みも薄れていき、共に仲良く暮らすようになっていた。
だがそんな平和な日々も長くは続かない。
いつしか人間達は『魔物』という畏怖なる存在が将来的に自分達の生活を脅かしてしまうのではないか……そんな恐れる気持ちを抱くようになっていたのだ。そこで女神様は魔物を束ねる『魔王』を討伐するため、人間達の中で『勇者』という存在を意図的に生み出すと強制的に旅する仲間を集めさせ、魔王城へと向かわせるのだった。
そして勇者は多大な仲間の犠牲により、ついに魔王を討伐することに成功したのだが、度重なる戦の傷により勇者も程なくして亡くなってしまう。勇者とその仲間の犠牲により魔王を倒して、この世界に平和が訪れた。
―それから数十年後
何故か魔王が復活すると人間達もそれと同時に新たな勇者を祭り上げ、再び人間と魔物とが争う日がやってきた。何度となく繰り返される人間と魔物、そして勇者と魔王との戦い。
果たしてそこに終わりはやって来るのであろうか?この物語は人間と魔物、勇者と魔王……互いに相対する二つの存在が自らの存在をかけて戦う、少し古めかしくも王道すぎる王道の『魔王を倒して、この世界を救う』という、ただそれだけのお話。
※ノベプラ・カクヨムにも投稿中
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