評価:★★★★☆ 3.5
七年前、倉田は五百人以上もの人間たちを、その手で殺した。
増え続ける移民とそれに伴う悪化に世界が打ち出した対策である鎖国。同様に外国との門扉を固く閉じ、再び鎖国時代に突入した日本は、国内で既に抱えている移民たちの処遇に混乱し、移民たちは東京へと送られる。東京では新たに『十三区制度』が発足し、中央区を含める十四の区画に分けられた首都では、収入によって居住区が決まるようになっていたが、移民たちはその不当な処遇に暴動を起こし、治安警備隊である十三区隊の隊長・倉田は暴動を抑えきることが出来ずに多数の死傷者を出してしまう。そこには警察庁長官・山縣の妻も含まれ、彼は倉田への意趣返しのため罪のない青年・中野を送り込み、倉田の目の前で見せしめとして彼を殺害することを試みる。同時に、同じ暴動で婚約者を失った十三区隊のオペレータである林もまた、トラウマに苛まれていた。
過去に囚われて未来へと進めない彼らの、再生の物語。