マイペース・ユアペース 完結日:2019年12月5日 作者:砂臥 環 評価:★★★★★ 4.5あるOLの生活。 変化のない毎日の中で起こった唐突な流れにあっさり流される主人公の話。 話数:全5話 ジャンル:現実世界恋愛 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 フツメン 地味子 注意:R15 なろうで小説を読む
世の中にはきれいなものがある。多くの人はきれいなものをただひたすら求める。果たしてそれは真実だろうか?『本気でそのひとを好きになりましたか?』…本作はそこを鋭利についてくる。カネ・栄誉・地位 いろいろなものを人は求め争う。だけど、みんなはきれいなものが好きだ…。それは本当にきれいだったのか?感情を化かしあう、おんなとおとこ。たぶんそんな恋をしたかったわけじゃない二人が紡ぎあうストーリー。──ガタン、ゴトン久し振りに電車に乗ったアナタは、このお話をお読みになって何を感じるのであろうか …。
憧れる恋。それは、華やかさやイベント性だろうか。金持ちイケメンに好きになってもらって、めっちゃ優しくしてもらって、好きになる。そんな恋も、もちろん良いだろう。金持ちイケメン最強!……現実でなければ。しかし、現実はそうはいかない。金持ちでもイケメンでも、優しくても、好きになってくれても、どうにもならないことだってあるのだ……波長が合わなければ。逆に、たとえフツメン、たとえ地味子であろうとも、波長が合う、お互いのペースを守りつつ隣にいても邪魔にならない、そういうことが恋では一番、大事なのではないだろうか。『マイペース・ユアペース』 このタイトルには、そのような意味が込められていると思う。そして、このお話の恋には、もう1つ、重要な鍵となる言葉がある。その言葉に行き当たったとき、あなたはきっと、「こんな恋がしたい!」と思うことだろう。ぜひ、本編で探してきてほしい。
恋愛は熱い熱い恋をして、互いの思いをぶつけ合い、甘さもあれば酸いもある。やがて向かう終着駅は結婚。それが普通。普通の人生。気配を消しながら生きる地味女はそんなこととは無縁だ。彼女もそれを良しとして自由生きている。自由。それはマイペース。彼女の嫌いな言葉。普通だけが最良じゃない。別に心が動いたわけじゃない。流された訳じゃない。都会から来た上司との一夜限りのラブアフェア。一夜限りの戯れ。気にしない気のない振り。動かなかった時間が静かに動き出す。──普通の人生に。
「ヤマアラシのジレンマ」というあまりにも有名な心理学用語があります。2匹のヤマアラシがいて、1匹ずつ離れていると寒い。かと言って近づくと、お互いの針が刺さって痛いというあれです。例えはヤマアラシですが、もちろん、人間の話で、1人でいるとあまりにも寂しい。2人でいると言葉や態度で傷つけあってしまう。そんなお話です。この物語は出会った2人が傷つくことを恐れ、また、自分が傷つけることを恐れ・・・そのような感を受けました。真摯に生きて来たこそ、傷つくことを恐れ、傷つけることを恐れる。思い切って一歩は踏み出してみた。でも、とても二歩目は踏み出せない。相手が一歩近づいて来てくれた。でも、自分は後ずさりしかできない。優しく繊細な物語。ちょっと紐解いてみませんか。
幾多にも絡み付く荊の如く、それらは時に我々の思考を塞ぎ閉じ込め揺り動かし翻弄する。無理に動こうと足掻くもその棘は確実に心を蝕み自らを危ぶむ毒を深々と刻みつける。思慮深く注意しても恋の奈落が突如その身に災いを齎すのならば、いっその事その身を投げ捨てて行く末を任せるのも悪くは無い。つまり、時に大人の恋は子どもの恋よりも単純に出来ている事があったりするのさ…………
モテる男の条件は……顔がいい。金がある。仕事ができる。モテる女の条件は……顔がいい。体がいい。口が固い。男から見た女の口の固さは、時として最大の魅力となり得る。しかし、本作の地味系女子は口の固さを武器にモテたわけではない。口の固さを含む一般常識が身に付いていたからこそ、本社のエリートの興味を引いた一面がある。そして、地味と見せかけてその実、無意識に男を惑わす誘蛾灯でもある。誰でも彼でも惹き寄せるわけではないが、一度その魅力に気付いてしまえば、もう離れることはできないかも知れない。二人の間に沈黙しかなかったとしても心地よい間柄ならば、男は女をどうするのだろうか?
若い頃の恋愛は、良くも悪くも情熱的で、始まりと終わりがハッキリしているものが多い気がします。――ですが、大人の恋愛は必ずしもそうとは限りません。何となく始まり、何となく終わる。そういう恋愛も、大人の方であれば、大なり小なり経験がおありではないでしょうか?本作の主人公も、正にそうです。主人公は真面目なだけが取り柄のごく普通のOLなのですが、そんな主人公はある日、何となく流れで、同じ会社の課長と同じベッドで朝を迎えてしまいます。――そこから始まる大人の恋模様。良い意味でなろうっぽくない小説です!約7500文字と、いっき読みするのにちょうどいい文字数!週末のお供に、オススメです。