評価:★★★☆☆ 3
舞台は戦後間もない九州の田舎町。
気の弱いいじめられっ子の小学生 恭介が怪我だらけで家に帰ると、心配そうに迎えてくれたのは雑種犬のテリー。テリーだけが、恭介の心の友達だった。
一緒に過ごした優しい日々の中で"お母さん"となったテリーは、恭介の父の身勝手な決断により過酷な運命に翻弄されることとなるが、テリーの勇気がその鬼の心をも変えていくのだった。――テリーが見せてくれた勇気を、教えてくれた愛を。60年経った今も忘れないよ。
わが子を想う心。友を守りたい気持ち。それが軽薄になりつつある現代の心にテリーの純粋さが染み入る、感動の私小説。
話数:全7話
ジャンル:ヒューマンドラマ
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:昭和
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
その他要素
注意:残酷な描写あり
主人公の恭介と家族、そして愛犬のテリーが過ごしていた終戦直後の風景をそのまま切り取ったこのヒューマンドラマは、今の令和の時代を生きる我々にとって、決して美しく映る事ばかりではない。 特に物語のカギを握る恭介の父は、当時の人々にも破天荒と捉えられるような人物であり、劇中でも直情的に行動し様々な事件を起こす、はっきり言って『滅茶苦茶な男』だ。 しかし人々の生き方が今と違っていても、変わらないものもある。その一つが、『絆』だ。 愛犬テリーと恭介の絆が、家族みんなを変えていく。 本作品は私小説とのことなので、おそらく作者が経験した出来事なのだろう。 会話文は九州弁で書かれ文章も粗削りで、読みにくい部分も多々あるが、逆に作者の飾らない感情が伝わってくるようにも思える。 今の時代に生きるからこその感覚を、是非読んで感じてみてほしい。