評価:★★★★☆ 3.6
水際颯太(みなぎわそうた)が目を覚ましたとき、そこはまったく見覚えのない、異世界だった。
説明を求めようとしても、誰も気づかない。声を上げても、誰も聞いてはくれない。
颯太の姿は、この世界の誰にも見えていなかった。
声も聞こえない。姿も見えない。触れることしかできない颯太は、異世界でたった一人で生きていくのかと悲観する。
たった一人。たった一人でもいい。この際人間でなくたって構わない。
なんでもいいから、この自分の存在を認めてもらいたかった。
だからこそ、もしそんな何かがいるのなら。
降って沸いた、理不尽の塊のような事態でも、その何かのために生きていけると思っていた。
誰からも気づいてくれない少年が、誰からも疎まれ遠ざけられた少女のために。
投げやりな前向きを掲げて、生きていく物語。
時代:未登録
舞台:西洋
雰囲気:未登録
展開:ハッピーエンド
注意:全年齢対象
比較的丁寧で分かりやすい話の運び。中盤で展開が突然になるところがあったりするものの、そこまで無理やりではない。短いためにサブキャラの掘り下げがあまりありませんでしたが、主人公の人間性に好感が持てること、ヒロインと主人公の距離感、等もあり話に入りやすい作品です。厳しいけれども優しい、優しいけれども厳しい、終わり方は少し想像していたものとは違いましたがヒロインや主人公が幸せになれる未来が見えてくるような綺麗な終わり方でした。ハーレム、チート、成り上がり、そういう転移転生モノに疲れた心に少し違う「なろう系」として読んでみてほしい作品です