評価:★★★☆☆ 3

 キレイな桜が舞う中、一人の男性が女性を抱えて何やら話をしている……。

「…………」

 しかし、その女性は手の施しようがないほどの怪我を負っており、その二人の周りも血で覆われていた。辛うじて男性が座っていた岩の部分は血が付いていなかったが、それでも女性の息はそう長くはなく、一言二言男性と会話を交わすと……そのまま息絶えた。

 私『椎名《しいな》咲月《さつき》』は、ここ最近ずっとこの夢を見続けている。それはまるで、自分の事であるかのように――。

◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

 ただ、そんな夢を見ても、ちっとも現実的ではない。私は普通に学校に通う高校生であって、あの夢に出てくるような和服姿の女性ではない……。

 なんて思いながら毎日を過ごしていると、ある日。友人の『結賀《ゆいが》エリカ』からこの地域に伝わる『神隠し』とそれが揺らいで始まった『狐祭り』について教えてもらった。

 そして、その『狐祭り』がある少し前、エリカを含めた数人の『少女』が忽然と姿を消す……という事件が起きる。

 警察も捜査に乗り出したようだが、原因も犯人も分からずなかなか進展がない。そんな中まことしやかに『神隠しにあったのではないか』とささやかれる様になっていた。

 そこで私はその『神隠し』の伝承に関わりのある『人物』に会いに行こうと、幼少期のトラウマがある自宅裏にある山へと足をすすめたのだった――。

 これは、過去と今を生きてきた『妖狐』と今を生き、たった一人の友人を助けたいと願い『妖狐に助けを求める』と言ったとんでもない行動に出た『少女』の物語である。


話数:全40話

登場人物
主人公属性
職業・種族
  • 未登録

時代:
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素
注意:全年齢対象