評価:★★★★★ 4.5
「女の川」……ぼくはチカを迎えに行った。すると平屋建ての小さな家からは、ドアから窓から大量の女があふれ出していた。中にいるはずのチカはどうなっているのだろう? 「猫のいる路地」……猫が話しかけてきた。どう見ても二足歩行の巨大な猫だ。チカは案の定大喜び。ぼくはいつものように冷や汗をかく。 「思い出の子供」……神社に行ったら処女であるはずのチカが妊娠した。キリスト教徒じゃあるまいし、とぼくが焦っていると……。 「未来の樹」……チカが公園の樹に願い事をした。するとぼくらは老い始めた。 風変わりな女性チカを巡る不思議な掌編集。
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
不思議で、優しくて、それなのに懐かしい。不思議なことを引き起こしてしまうけど全く自覚のない「チカ」とそれを知りながら程よい距離感で接する幼馴染「高野君」二人が出会う「不思議なこと」の数々……読者に共感を求める要素が皆無な作品です。それなのに、圧倒的な透明感で描かれる景色に吸い寄せられ、どぼん、と物語の世界に沈み込んでしまいました。幻想的な文学がお好きな方に是非、オススメしたい作品です。