妖怪 お気に入りはずし 完結日:2011年11月15日 作者:山口 評価:★★★★☆ 4.2このサイトには妖怪がいる。奴は今日も、お気に入り登録したり解除したりして作者の反応を楽しむのだ。 話数:全22話 ジャンル: 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 美少女 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
バカである。嫉妬もする。自分が見えていない。非難されても理解できない。ムカついたとかいうしょうもない理由で子供のブログを荒らしにいこうとする。中傷もする。でも何故か自信満々。どうみても最低だけど。彼には美点が無い。え。そこはあるって言うべきだろって。 無い。見事に無い。彼は小説を書くが、誰も読んでいない。読むかも知れないが、気にいって読んでくれるかというと否だ。あくまで自分が楽しくなるための文を書いている。誰がいったかチラシの裏にでも書いていろ。それでいいじゃないか。自分が楽しくなるために読むように、自分が楽しくなるために書く者もいる。誰かを感動させたいためだけに酷い地雷を仕込んでしまった作者を慰め、励まし、再び立ち上がる機会を与えたのは先ほどまで彼女に根拠ない作品への批判を書いてた彼。彼は作品は見てなかったが、彼女の読者達の心は見ていたのだった。
この作者は拙作に感想をつけてくれたことがある。初めて見た時は「明日が寿命なんじゃないだろうか」と思ったくらいビックリした。それくらい、彼は手の届かない人であった。きっと私みたいに他に取柄がなく底辺を這いずり回り、悔しかったり悲しかったりする人の気持ちなんかわかりゃしないと思っていた。それがどうだろう。私は底王様の御言葉にボロボロ泣いた。なんで?って思った。完結してからもなお、そう感じることは変わらない。「なろう」だけではなく、すべてのことに頑張っている、ぶきっちょな人たちに伝えたい。――心の中の消せない宝石は、他者から見たら陳腐かもしれない。でもきっといつか、見つけてくれる人がいる。磨いてくれる人がいる。
なろう小説の読者、特に作者にとってかつてこれ程までに共感出来る主人公はいただろうか。主人公はお気に入り件数がゼロで読者に叩かれようともひたすら自分を貫き超ポジティブ思考に小説を執筆している。その精神的にタフな主人公の姿に読者はいつの間にか惹かれていくことだろう。その主人公とは対照的にランキングの上位の作者である『妖怪・お気に入りはずし』の存在が物語により深みが与え味わい深いものになっている。まさになろう小説ならではの斬新な作品である。