その年の初冬、渋谷のパークシティーホテルでは、卒業後初めての「松本城西高校」のクラス会が開かれていた。
参加者は同級生の男女八人と当時の教師。
会も終わりに近づいたころ、参加者の一人、「木戸悠太」が突然苦しみ出して倒れた。薬物による中毒死だった。
参加した同級生に疑いの目が向けられた。参加者はみんな何らかのかたちで医療機関に関係していたからだ。
全員が疑心暗鬼になる中で、「永島竜也」と「川名聡美」の二人が事件を追い始める。
その矢先にまた参加者の男女二名が、故郷松本で殺害される。
二人は事件を追う過程で、思いもよらない高校時代の隠された事実を知ることになる。そして、それに関わる複雑な人間模様が、徐々に浮き彫りになっていく。
一方で、犯人像は朧げなまま、遅々として捜査は進展しなかった。
そんな中、竜也の故意に漏らした言葉で、警察の事件解明が急速に進展していく。結果は誰もが予想し得ないものだった。
ある人間が仕掛けたクラス会という舞台で、同級生の仲間が踊らされていたのだ。
首謀者は捕らえられ、事件は解決したように見えたが、犯行の動機は依然ベールに包まれたままだった。
数日に及ぶ事情聴取。その中で、明確な動機のない事件は、醜い皮を次々に剥がしながら真の姿を現し始める。
犯行は、信じられないことに、首謀者の患った『疾患』が完治したことによって引き起こされたのだった。そして、その『疾患』を誘発したのは首謀者に送られたある一本の『メール』。
その『メール』が首謀者を凶行へと走らせたのだ。
「自分を犯罪者と呼ぶなら、メールを送って自分を陥れた人間こそが真の犯罪者だ」首謀者はそう嘯いた。
その『メール』と『疾患』との関連は・・・・・。
そして、首謀者の言う犯行の動機「人間の間引き」とは・・・・・。
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