主人公――犬神康介は宮倉町に生を受けた神童だった。
宮倉町は過疎化が進んでいるせいか犬神の同年代は弓月立華、神無月優奈そして篠月響の三人だけ。
周りが山に囲まれて他と情報が遮断されていたため、犬神を含めた四人は幼馴染を越え家族と呼べるまで親しい仲である。
このまま四人で、閉じられた世界で過ごすのかと思われたのだが、ある年齢に達すると受ける検査において犬神は魔法使いになる素質があることが分かった。
そして犬神は周りに進められるがまま夢宮学園へと上京するが一年後、心身ともに疲れ果てて帰ってくる。
犬神にとっては初めての挫折。
卑屈になり、自分を見失ってしまった犬神だが、三人は犬神を時に叱咤し、時に励まして彼を支える。
彼女達の献身によって犬神は徐々に自分というものを取り戻していく。
このまま魔法使いであることを綺麗さっぱり忘れるかと思った矢先、犬神をボロボロに追いやった張本人である橘竜一郎が現れる。
橘は魔法によって犬神の長所を奪い絶望させるだけでなく、彼女達までその歯牙にかけた。
その事実を知った犬神は人間を捨てる。
怒りが臨界点を超えた犬神は仇敵である橘を叩きのめし、新たに習得した魔法によって橘の存在を消し去ろうとするがそれは夢宮家の刺客によって阻まれた。
冷静な判断が出来ない犬神はその刺客にも刃を向けるが、圧倒的な実力差に加え目的である奪われた心を取り戻すことが出来たことによってその場を納めた。
後日、夢宮家から正式に学園に戻るよう命令される。
犬神は断ろうとしたが、因縁の相手である橘は夢宮学園に在籍し、そこで修業している事実を聞かされる。
もし誘いに乗らなければ近い将来橘が現れることは確実。三月娘に危害を及ぼすことを避けるため、犬神は橘を殺していいことを条件に入れることで再度入学を承諾した。
犬神は新たなスタートを切るかと思いきや用意された住居に三月娘達がいたことに唖然とする。
聞いたところによると、夢宮家が手を回して彼女達を一般学科に転入させたという。
犬神は夢宮家の強引な手腕に怒りを覚える反面、三月娘達が近くにいることに安堵を覚える。何故なら彼女達は犬神の力の源。
彼女達が傍にいることによって犬神はその力を発揮することが出来た。
彼女達が荷物整理に追われている様子を眺めながら犬神は必ず彼女達を護り切ると心に決めた。
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