評価:★★★★☆ 4.4
ひとを呪わばあなふたつ
ひとつ帰せばあなひとつ
ひとり呪えばひとりが幸せ
ひとり呪いつづければみなが幸せ
だから呪われるわたしはみなの幸せ……
だから呪われたわたしは幸せ?
――わたしを愛してくれる人なんていない。
――僕を受け入れてくれる人なんているのだろうか?
守野青羽。高校一年生は、つい先日、クラスメートの三森水穂に告白して振られたばかりであった。
彼は一見極普通の少年であるが、実は病的なまでの御節介焼きで御人好しであった。
青羽は夏休み前日の登校日に、その身に醜い傷跡を負った、眠りに就く少女と出会いを果たす。
しかし、青羽は少女を助ける際に、異形の鴉によって左腕に呪いの傷痕を刻まれてしまう。
助けた少女の名前は灰羽鳥子。高校二年生。青羽よりも頭半分ほど背の高い、大人びた少女であった。
鳥子は一族の者が抱える呪いを、贄の儀により、醜い傷跡としてその身に刻むことで肩代わりする役目を負った呪巫女であると言う。
青羽の腕に刻まれた呪いを己の身に移すため、鳥子は青羽に同行を強いるのだった。生まれも育ちも、通う学校すらも違う二人。そんな二人が織り成す、一夏の逃避行が始まる――
注意:全年齢対象