評価:★★★★★ 4.5

 キリギリスが死んだ。
 キリギリスの名は、岡原 健治。親友だった。

「俺をキリギリスとするなら、お前はアリだな」
 高校時代、昼休みの喧騒に包まれた教室で奴は言った。
「俺は人生を夏にかけた。お前は冬を越えるために蓄えた」
 高校三年の冬。窓の外では、積もりもしない雪が舞っていた。

 俺たちは、俺たちの道を行こうとして、そして互いの道を見守っていた。
 それぞれが幸せになるはずだったし、それは概ね外れてはいないのだろう。

 だが、俺はアリで、ヤツはキリギリスだった。


話数:全5話

登場人物
主人公属性
  • 未登録
職業・種族
  • 未登録

時代:
舞台:未登録
雰囲気:

注意: