評価:★★★★☆ 4
わたしの名前は渡辺双葉、中学一年生。趣味は読書しかない。
今から六年前。わたしが七歳の時、兄、輝人が「消えた」。事件、事故、自殺、あらゆる可能性で大人達が探したけれど、兄は見つからなかった。
その日からわたしは、兄の身代わりとして育てられた。兄と同じ服を着て、兄と同じ髪型になった。兄の夢だったという『医学部』を目指して、ひたすらに勉強している。 ところが夏休み直前、図書委員顧問の大矢先生が、わたしに意外な告白をした。自分は兄の担任だった事。兄の異変に気付いていながら、失踪を止められなかった事。そして兄の夢は、「医学部ではなかった事」。
医学部は、兄の身代わりとして絶対目標だったはずだ。じゃあわたしは、誰の夢を追いかけているんだろう? わたし自身の夢は? 『わたし』はこのままでいいのか?
――家族の事件によって、自分と自分の夢を捨てた双葉が、大矢先生や拒絶していた友達の力を借りながら、自分を取り戻す。そんな一夏の成長物語です。※この作品は、ブログで発表している小説『夏の、てのひら。』を基に、再構築したものです。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象