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「鼠が増えすぎるとね、寄居留が落ちてきて、その辺に溜まるから気をつけてね」
妻が言ったのである。
なんでも、寄居留というのは、鼻行類=ハナアルキのことであるらしい。逆立ちして、鼻で歩くという、珍奇な哺乳類である。
それが、天井を通って落ちてくると言う。
時は、大正四十九年のことである。
妻が出かけてから見ると、その奇居留がいた。なんとも愛くるしい姿で、私は陶然としてしまった。
ところが、帰宅した妻は、寄居留を見ると発狂したかのごとく怒り狂い、寄居留をホウキで追い払ってしまった。
三軒隣の薫さんが、寄居留を連れていた。それは、私の家から追い出された寄居留だった。
実は、私が旧制高校時代、私は高等女学校の生徒だった薫さんに秘かに想いを寄せていた。
こうして、寄居留を縁に、私と薫さんは駆け落ちをするのだが、その途中で寄居留のとんでもない秘密を知ることになる。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象