とりかえっこ漫遊記 完結日:2013年11月6日 作者:ふとん 評価:★★★★☆ 4.2運だけは誰よりも悪い私。 けれど生まれてこのかた命に関わるような事件に巻き込まれたことはないし、勢い余って悪事に手を染めたこともない。 そんな平凡な私にこれは何の冗談ですか? トラブル巻き込まれ体質な私の異世界漫遊記。 ※2011年12月31日をもちまして完結いたしました。ありがとうございました。 話数:全209話 ジャンル:アドベンチャー ファンタジー ラブコメ 異世界恋愛 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:異世界 雰囲気:ほのぼの 展開:ハッピーエンド その他要素 年の差 戦争 異世界転移 社会人 魔法 注意:R15 残酷な描写あり なろうで小説を読む
ライトな冒険とハッピーエンドを求めて読み始めました。順調な出発。美形男子も登場。───これは安心して読める王道物語だ!!って思った私は甘かったんです。この物語はずっと主人公の視点でその瞬間瞬間を描きながら、最後の最後まで主人公が不幸なのです。主人公の主観において。でも、決して後味の悪い話じゃないんです!!すんなり飲み込めるような、簡単な、ハッピーエンドじゃありません。ただ、全部終わって振り返ったら幸せだった。幸せってそういうものかと納得されられるんです。主人公ひとりに偏らないハッピーエンド。みんなそれぞれ不幸で、それでいて幸せだった。そんな物語だと思うんです。主人公は、普通の、普通の女性です。ただ流されてるわけじゃないけど流れに逆らえるほど強くないんです。最後の最後に与えられた奇跡はきっと不幸な彼女への御褒美です。
主人公に共感する部分がおおかったです。読み終えた後も余韻に浸ってしまいました。特に、王様と結ばれるのでなく、宰相と結ばれたところが良かったです。同じ様に、寂しさを抱えているけれど、それぞれ根底にある思いや生き方は真逆で、それぞれ求める形は違えども、不器用な一面をみせるのは同じで。主人公が旅の間に出会う、傑物達の生き方にも、感銘を与えられ、人の幸せの在り方や、人生の歩み方について考えてしまいました。この作者の他の小説もぜひ、読みたいのですが、ユーザー名が変わっているようで、どうしたらいいのでしょう?スピンオフ楽しみにしてます。
目立ったチート能力のない主人公が、けっこうハードな異世界の中で心身供に磨かれ成長していく、壮大でテンポの良いお話。しっかりした世界構想、強引すぎない展開、魅力的で人間臭い登場人物達。それらが見事に調和しており、作者の技量と作品への愛情が伝わってきます。ままならないことの方がはるかに多い非情な世界の中で、もがきながらも大切なものをしっかり見据え生き抜こうとする主人公と、彼女をとりまく悲しくも優しい人達。登場人物のそれぞれに歴史があり、譲れない生き様があります。主人公の為に世界が、誰かがいるのではなく、全ての登場人物が各々の世界の主役なのだということを感じさせられる、見事な人物描写でした。恋愛小説とくくってしまうにはもったいない、多くの方に読んでもらいたい完成度の高い物語だと思います。ちょっと長いですが、ぜひ最期までご一読ください。きっと、もっとずっと読んでいたいと思うはずです。
平凡でまるで何の価値もない人生の主人公が異世界に飛ばされて、ありきたりな人生が逆転しまうというありきたりな話を読むはずでした。主人公が毎日を過ごす様は波乱にみちあふれているのに淡々と語られていて日記を読んでいるかのように思えました。食事だとか人との触れ合いだとかそんな他愛ない毎日がとても大切に感じました。生きていることに挫折を覚えたり、つまらなくて憂いを感じてるならなおのこと束の間の他人の人生に触れてみてはいかがでしょうか。一日が過ぎるのはあっという間ですし限られた時間で読むには内容も長いですが、読み終えたあときっとなにかしらのものを掴むことができると思います。
運だけは悪い。と、豪語までするのは君島葉子さん、お年は作中にて。断言通りに、ある日いきなり異世界に飛ばされて、何故か追い立てられるわ排除されかけるわで、愚痴りながら逃げ回っていく?うーん、そうとも一概には言えないのですが。とりあえず教えられることは、葉子姉、『漢』だ。「さん」が一般なんですが、敢て「姉」と呼びたい。「姐」ほど強くない、でも「さん」じゃ大人しい。訳が判らないでしょうけれど、読んでみて下さい。不運にうっちゃり掛けて、前へと進む葉子姉の気風のよさに惚れ込みます。彼女の周りを囲んだり通り過ぎたりするキャラクターの背景もしっかりしていて、行動にいちいち納得してしまうのも物語魅力の一つ。一癖や二癖どころか権力もある連中と、徒手空拳でも対等に渡り合っちゃう葉子姉の旅路は波乱万丈。次から次に出てくる難題に謎。はたして真実は解き明かされるのか?目が離せません。