マゾヒロイン

　始めに言っておきたいのは、この物語につっこみは不在だということ。　Ｍの遺伝子を持つ間園結奈と、それに一方的に想いを寄せる勘違い君、牛原草士は勿論、される側の人間たちなのだが、　降留津美久。一見、トリオ内のナパチャット的立ち位置で物語を進めようとする彼女も、　実は世間から見ると、される側なのだということ。　混沌がカオスを呼び、終着しちゃいけないんだけど終着せざるを得ない地点に、きりもみしながら着到する。　これはそんなお話です。　つっこみは、読者の貴方の仕事です。

間園結奈は、マゾヒストだ。殴られ嬲られ興奮する、根っからのマゾヒストだ。今日も今日とて勧善懲自。彼女は快感を求め、ありとあらゆる修羅場へと猛進していく。少女を囲む不良のもとへ、颯爽と現れ――「殴るなら私を殴れ！」かよわい女の子を救うヒーロー？冗談じゃない。日々、悪人との戦いに（一方的に）身を投じ、（快感に）身を震わせながら、（ご褒美のために）拳を握る。――そんなマゾヒロインに愛された、不幸なツッコミ少女の話。一万文字という短編のなかに、これでもかと笑いが詰め込まれています。朝の短い時間にサッと、腹筋を鍛えてみてはいかが？通勤・通学中に読めば、思わずニヤける口もとを、必死で抑えることでしょう。